覚えよう!「海洋生物:水中ハンドシグナル」|ダイビングがもっと楽しくなる
海洋生物のハンドシグナルを覚え、ダイビングをより安全に快適に楽しもう!
OK、潜降、安全停止、浮上など、ダイビング行動を伝える基本的な水中ハンドシグナルから、海中で出会った生き物を知らせるハンドシグナルまであるんです!
海洋生物を表すハンドシグナルは、その生物の特徴、行動パターンや名前(英語)からイメージして作られているものが多く、とっても楽しいです!
日本では、ガイドさんが水中スレートに生物の名前を書いて教えてくれることが多いですが、海外ではハンドシグナルを使って示す場合も多いです。ウミガメ、サメ、マンタのように大きな生物がまだ離れた場所にいる時、ガイドはハンドシグナルを使ってダイバーに知らせます。
ハンドシグナルは、水中で危険な生物を見つけた時にも使われます。
ゴマモンガラのように一見綺麗に見える魚も、産卵期に入るとかなり攻撃的になり得ます。オニダルマオコゼなどトゲに毒があり、刺されると大きく晴れてしまう魚もけっこういるんです。その際ガイドはハンドシグナルを使って危険を伝えるので、見逃したくないですよね。
ハンドシグナルはバディ同士でも有効に使えます!
水中でとっても綺麗なウミウシを見つけたら、いち早くバディに伝えたくなりませんか?
そんな時、「ウミウシ」のハンドシグナルを使ってバディに伝えることができたら、とっても親切でスマートですよね。
※海洋生物のハンドシグナルは場所・地域によって若干違ってくる場合もあります。ここではバリ島ダイビング使用されているハンドシグナルを含め、ベーシックな32種類をご紹介します。
次回のダイビングに役立てて頂いたら嬉しいです!
要注意!『危険な海洋生物』水中ハンドシグナル
① ゴマモンガラ
- ゴマモンガラは英語でTriggerfish(トリガーフィッシュ)”英語でTriggerとは、銃などの引き金”の事を意味します
- ゴマモンガラのハンドシグナルは、引き金を引くのと同じように、人差し指を指して曲げます
- 普段はとてもおとなしい魚ですが、産卵・繁殖期のゴマモンガラには要注意!うっかり彼らの縄張りに入ってしまうと凄い勢いで追いかけてきます。バリ島ではゴマモンガラの産卵時期が決まっていないので、ゴマモンガラを見たら注意しましょう!
② オニダルマオコゼ
- オニダルマオコゼのハンドシグナルは、拳(こぶし/げんこつ)を作って、もう一方の手のひらの上に置きます
- 拳が(名前のstone)石を示しています
- 背ビレの棘(トゲ)にとっても強い毒を持ってます(ダイビング中に遭遇する有毒魚達「カサゴ目)
押さえておこう!『大きな海の生き物』水中ハンドシグナル
③ マンタ
- マンタのハンドシグナルは、両腕を大きく広げて羽ばたかせます。マンタが悠々と水中を遊泳しているように見えます
- バリ島ヌサペニダでは通年マンタを見ることができます。マンタのハンドシグナルを使ってマンタと2ショットなんて良いですね!
④ ウミガメ
- ウミガメのハンドシグナルは、片方の手をもう一方の上に置き、親指を回転させます
- カメの泳ぎを示しています(バリで会える「ウミガメ」の種類と不思議!)
⑤ サメ
- サメのハンドシグナルは、手の側面を額に当てます
- バリ島で見るサメは襲って来ません(サメって怖いの?|ダイバーがサメに襲われる確率は?襲撃パターンと対処法)
⑥ ハンマーヘッド
- ハンマーヘッドのハンドシグナルは、拳を頭の両側に置きます
⑦ マンボウ
- マンボウのハンドシグナルは、手でこぶしを作り、親指と小指を上下に突き出します
- 拳はマンボウの体を示し、親指と小指はマンボウのヒレの部分を示していますね
- マンボウダイビングはバリ島で最も人気のあるダイビングの1つ。マンボウシーズン(7月~10月末)は陸上でも水中でもマンボウのハンドシグナルが飛び交います!(バリ島マンボウの秘密に迫る)
⑧ ナポレオンフィシュ(和名メガネモチノウオ)
- メガネモチノウオのハンドシグナルは、拳(こぶし)を額に当てます
⑨ バラクーダ
- バラクーダのハンドシグナルは、片方の手で、もう一方の腕に沿ってチョップしますバラクーダの体にあの縦の線(ストライプ)を示しています
⑩ タコ
- 一般的なタコのハンドシグナルは、下向きの指を触手のように小刻みに動かします
- 下向きの指がタコの触手(足)を示しています
- 写真はバリ島で良く見られるロングアームオクトパス。バリ島では擬態するミミックオクトパスをはじめ、さまざまな種類のタコに遭遇するチャンスがあります!(「ミミックオクトパス」すごすぎる進化と常識を超えた擬態の謎)
⑪ マグロ
- マグロのハンドシグナルは缶詰を缶切を使って開けるようにします。面白いですね!
⑫ イルカ
- 人差し指を波打つように動かして、イルカの泳ぎ方をイメージさせます
知ってると便利!『幼魚』のサイン
ダイビングで遭遇する海洋生物達の中には、同じ魚でも幼魚と成魚では見た目がガラッと変わってしまうものもいます。
幼魚を表すハンドシグナルを知ってるととっても便利です。
⑬ 幼魚を表す水中ハンドシグナル
- 幼魚のサインは、手で赤ちゃんのゆりかごを作り、ゆっくり左右に動かします
- 写真はタテジマキンチャクダイの幼魚(成長するとガラッと見た目が変わります)
⑭ ヤッコの仲間達(キンチャクダイ科の魚)成長すると見た目が変わる
- 海で見られるヤッコ達を英語では総称エンゼルフィッシュ(Angelfish)と言います
- エンゼルフィッシュのハンドシグナルは、指で頭の上にフープ(輪)の形を描きます。 天使の輪を示しています!
- 写真の魚は、タテジマキンチャクダイの成魚(Emperor angelfish) 上の幼魚からは想像しづらいですね!
- その他、バリ島で多く見られるエンジェルフィッシュはサザナミヤッコ(Blue angelfish)、アデヤッコ(Blue faced angelfish)、ロクセンヤッコ(Six-banded angelfish)。みんな幼魚と成魚では見た目がガラッと変わります
水中ハンドシグナルは組み合わせて使えるよ!
例えば、キンチャクダイの幼魚を伝えたい時は、
①ヤッコの仲間(キンチャクダイ)のハンドシグナルをだして ⇒ ②幼魚のサインをだします。
逆でも大丈夫です。
『海の小さな生物たち』水中ハンドシグナル
⑮ ウツボ
- ウツボ全般のハンドシグナルは、片手で4本の指と親指を一緒に開きます
- 口の開け閉めを示しています
- ウツボの中には”ハナヒゲウツボ”のように、成長と共に体の色と性別を変えるものもいます
(「ハナヒゲウツボ」の一風変わった生態を知ろう)
⑯ ウミウシ
- ウミウシのハンドシグナルは、指で「V」字型にして、指先を動かします
- ウミウシの触覚を示しています
⑰ カエルアンコウ
- カエルアンコウのハンドシグナルは、額に手を置いたまま人差し指を曲げます
- このジェスチャーは、カエルアンコウの額の飛び出した部分を示しています
- バリ島にはさまざまな種類のカエルアンコウが生息してます。カエルアンコウ好きの方はマックダイビングが楽しめるトランベンやアメッド周辺がおススメです!
⑱ カミソリウオ・ニシキフウライウオ
- カミソリウオ・ニシキフウライウオのハンドシグナルは、人差し指を斜め下方向に向けます
- カミソリウオやニシキフウライウオは頭を斜め下に向けてフワフワ浮いているので、その特徴を示しています
- カミソリウオ科5種類を紹介したYoutube動画
⑲ タツノオトシゴ・ピグミーシーホース
- タツノオトシゴは英語でシーホース。海の馬?
- タツノオトシゴのハンドシグナルは、馬に乗っているように両手を上下に動かします。
⑳ ピグミーシーホース
- 英語でピグミー(Pygmy)とは、とっても小さいという意味。その名の通り、ピグミーシーホースは世界最小のタツノオトシゴなんです!
- ピグミーシーホースのハンドシグナルは、拳(こぶし)を作り、小指だけチョット立てて折り曲げます
㉑ エビ・カニ類
- エビのハンドシグナルはこめかみ付近で人差し指を上に向けます。エビの触覚を示しています
- マクロ派・フォト派ダイバーに人気マックダイビングのポイントでは、ヘアリーシュリンプ(シムランス)やフリソデエビを始め、さまざまなエビ達がいます
㉒ ロブスター
- 片手でロブスターの触覚を示しています
㉓ カニ
- カニのハンドシグナルは、両手や片手で指を開いて横に向けて動かします
- カニのハサミを示しています
- バリ島のマックダイビングポイントには、デコレータークラブを始め、珍しいカニ達が観れますよ!
㉔ フグ
- ふわっとおむすびを作る感じに、互いに近づけたり遠ざけたりします
- フグが体を膨らませる行動を示しています
㉕ ハコフグ
- ハコフグのハンドシグナルは人差し指と親指で四角を作ります
(その他、左手を前に出して、スーツケースを運ぶようなサインもありますね)
㉖ ガーデンイール(チンアナゴ)
- チンアナゴのハンドシグナルは、左手で右手の肘を抑え、砂地の巣穴に見立てます。右手でニョロニョロした動きを示しています。
- チンアナゴは砂の中から体をだしてニョロニョロ動く、ユニークな魚。近づくと引っ込ん巣穴の中に引っ込んじゃんですよね。
㉗ コチ
- コチのハンドシグナルは、手のひらを合わせて、指先で開閉します クロコダイル(ワニ)の口を示しています
- コチ科の魚達はみんな平べったい体と口の部分がワニ=クロコダイル(Crocodile)に似てますね
㉘ ヘラヤガラ
- ヘラヤガラは英語でトランペットフィッシュ(Trumpetfish)細長い体が特徴
- ヘラヤガラのハンドシグナルは、名前のごとくトランペットを演奏しているように指を持って動かします
知っておこう!『毒を持つ海の生き物たち』
㉙ ミノカサゴ
- ミノカサゴのハンドシグナルは、指をかみ合わせてカサゴの大きなトゲの形を作ります。
- ヒレの部分にある有毒な棘(トゲ)を示しています
- ミノカサゴ、ハナミノカサゴ、ネッタイミノカサゴ、キリンミノに共通ハンドシグナルです
㉚ フサカサゴ
- フサカサゴ科のハンドシグナルは、ミノカサゴのハンドシグナルのようですが、頭の上に手を置いてください
- 一般的にダイビングガイドが英語でスコーピオンフィッシュ(scorpionfish)と呼ぶのは、フサカサゴ科ミノカサゴ属以外が多いです (ダイビング中に遭遇する有毒魚達「カサゴ目」)
㉛ ヤッコエイ
- ヤッコエイのハンドシグナルは、広げた手の甲をエイにみたて、指でヤッコエイにある青い点々を表します
- 手の甲に、指をタップする感じです。
㉜ クラゲ
- クラゲのハンドシグナルは、触手のように広げ指を閉じながら腕を縮めます
- クラゲの口の動きを示しています
今回紹介した海洋生物のハンドシグナル以外にもハタ、クマノミ、クダゴンベ、ウミヘビ、クジラ、サンゴなど、沢山あります。※地域によって若干違う場合もあるので、ブリ―フィン時に確認すると良いですね。
水中ハンドシグナルを集めた有名な本「SCUBASIGNS・The Guide to all diving hand signals」 には、500近くの水中ハンドシグナルが掲載されています。この本の著者であるDave van Stijin & Mike Harterinkは世界中を旅し、ダイビング団体と一緒に評価してこの本を作り上げたのです。
ハンドシグナルは水中での共通語!
言葉の壁を越え、世界中のダイバーとコミュニケーションがとれるんだね!ダイビングがより安全、より面白く、より楽しくなるよ~!
『水中ハンドシグナル』ダイバーあるある|バディ・システムの重要性
水中で伝えたい事があっても、伝えられない時ってヤキモキしますよね。
こんな経験のある方、意外と多いのではないでしょうか?
例えば、水中で珍しい生物を見つけ、それをバディに伝えようとしてもバディが振り向いてくれない。
バディの注意を引こうと、支持棒でタンクを叩いたり、エアホーンやベルを鳴らしても全く気付いてくれない。
最後は「こっち見て~」ってレギュレーター越しに大声で叫んだり!?
その魚との遭遇は、一期一会だったかもしれないと思おうと、とっても残念な気持ちになりますよね。
水中でバディが気づいてくれなければ、せっかく覚えたハンドシグナルも使いようがないですよね。
ダイバーの中には、水中で「カンカン」音を鳴らしても、全く気付かない人もいるんです。
得に水中写真やビデオに集中してしまうと、周りの音に気付きにくくなってしまうんですよね。
私もそのうちの一人だったので、良くわかります。
水中ハンドシグナルを活用して、ダイビングをより安全に、快適に楽しむ為にも、バディ・システムを意識しながらダイビングを行って下さいね!
海洋生物ハンドシグナルたち(一覧)
以下のリストはPADIのMarine Life Hand Signals リストに和名を付けたものです。
こちらのリスト「Hand Signals for Marine Animals」も良く見られています。参考にしてみて下さい。