「ミミックオクトパス」すごすぎる進化と常識を超えた擬態の謎

バリ島ダイビング、ミミックオクトパス

「擬態の達人」として知られている「ミミックオクトパス/ Thaumoctopus mimicus 」

マダコの種類で1988年にインドネシアのスラベシ島沖で発見されました。

現在、分かっているだけでも15種類以上の生物(主に毒性の高い)に擬態します。

この驚くべき能力! 

ミミックオクトパスはどのようにこの能力を適応していったのでしょうか? 

考えたことありますか?

ミミックオクトパス
目次

ミミックオクトパスの進化を探ると、そのすごさが分かる!

ミミックオクトパスの謎を探ってみましょう!

  1. ミミックオクトパスの防衛策「自分を目立たせて身を守る」
  2. ミミックオクトパスの変身技
  3. ミミックオクトパスの仲間
  4. ミミックオクトパスとワンダーパスの見分け方
ミミックオクトパス

ミミックオクトパスの防衛策「自分を目立たせて身を守る」

基本的にタコは頭が良く、体の色を周囲の環境に合わせ捕食者から身を守ります。
ようするに、普通は周囲の環境に合わせ目立たなくするんです

だが、ミミックオクトパス」は違う

身を隠すどころか、「より目立つよう」に大胆な配色でコントラストの強い色パターンに体の色を変ます
そして、毒性の高いヒラメ、ミノカサゴ、ウミヘビなどに擬態します

一見、向こう見ずな行動とも思われますが、こうする事で敵を混乱させたり、脅かせて身を守っているんです。

動物がこのようなハイリスクな防衛戦略をとるのは、比較的マレな行動パターンらしいです。

ミミックオクトパスはなぜハイリスクな防衛戦略をとるのか?

カリフォルニア化学アカデミーとコンサベーション・インターナショナル・インドネシアはミミックオクトパスとその親類に関するDNA遺伝子研究を実施し、ミミックオクトパスは「なぜ、この様な行動を促進し、進化したのか?」を研究しました。

その結果、『ミミックオクトパスは3つの重要な特性を進化させた』ことが分かりました

STEP
大胆なガラを進化させた

まず初めに、ミミックオクトパスは従来の擬態の殻を破り、二次防衛策とし、捕食者を驚かせるような「茶色と白」の大胆なガラを進化させました。

STEP
手足を進化させた

次に、ヒラメのように泳ぐ技と、長い足を進化させ、

STEP
ゼブラ模様のガラを進化させた

最後にヒラメ(擬態する時)になりすます時に大胆なゼブラの様なガラを表しはじめた

「ミミックオクトパス」は先祖から伝わる擬態能力を打ち破り、その先の先まで進化して行った感じですね。
スゴイですよね!

ミミックオクトパスの変身技

ミミックオクトパスの変身技の一部を見てみよう!
クイズ番組で使用された弊社のミミックオクトパスの動画。
ヒラメやカサゴに変身する姿がよくわかります。

ミミックオクトパス、ウミヘビに変身,バリ島シークレットベイ

ミミックオクトパスが砂地から顔を出し、ウミヘビに擬態してます。
個人的には、ミミックオクトパスがウミヘビに擬態している時に発見するパターンも多いです。

この時、慌てて近づいたりすると、直ぐに引っ込んでしまうので、根気がいります。

ミミックオクトパス,変身前、茶色、バリ島シークレットベイ

ミミックオクトパスが、砂地から体を出してきた。

この時の体の色は茶色の単色

ヒラメに変身!
体の色が「茶色と白」のゼブラに変わりました!

ミミックオクトパス,ミノカサゴに変身,バリ島シークレットベイ

カサゴに変身中

ミミックオクトパス,イカに擬態,バリ島シークレットベイ

イカに変身

バリ島トランベン,小さな ミミックオクトパス

まだ小さなミミックオクトパス
一生懸命に変身

ミミックオクトパスの仲間達

ミミックオクトパスに似た種

  • ワンダーパス/Wunderpus photogenicus
  • ホワイトVオクトパス/ Abdopus sp

ワンダーパスは1980年代に発見され、2006年に科学者により正式な学名が付けられました。

バリ島ワンダーパス・オクトパス  wunderpus octopus

ワンダーパスオクトパス
Wunderpus Octopus

ホワイトVオクトパスがヒラメに変身、トランベンバリ島

ホワイトVオクトパス
White V Octopus

ミミックオクトパスとワンダーパスの見分け方

ミミックオクトパスとワンダーパスの見分け方は難しくありません。

目の上の触覚: 目の上の触角が細く長く伸びているのがミミックオクトパス。三角錐のような形になっているがワンダーパスです。

目の大きさ: ミミックの方が丸くて大きな目です

体の大きさ:ミミックははワンダーパスに比べて大きく、筋肉質になる傾向があります

模様: ミミックはゼブラのような縞(シマ)模様を消して、茶色またはまだらになる変えることがあります。ワンダーパスは色の濃さを変化させますが、常にはっきりとした縞(シマ)模様が見えます。

バリ島では主にシークレットベイアメッドトランベン周辺プリ・ジャディで見かけることがあります。

MAX DIVEのYoutubeチャンネルに「ミミックオクトパス」と「ホワイトVオクトパス」の動画をアップしてます!
どちらも迫力満点です

バリ島シークレットベイで見たミミックオクトパス
ミミックオクトパス
バリ島アメッドで見たホワイトVオクトパス
ワンダーパス

最後に変身ダコとの思いで

個人的な「変身ダコ」との思い出
忘れもしない、私が初めてミミックオクトパスに遭遇したのは15年以上前のこと。
スラベシ島のレンベです。

あの頃のレンベは本当に何もなかった。
ダイビングリゾートはクンクンガン・ベイの一件だけ。

初日の3本目、ボートに上がる寸前にガイドが「ミミックオクトパス」を見つけました。
ダイバー達は興奮の渦!

えっ!タコが変身する!

「変身ダコ!」
聞いてはいたものの、目の前で見るのは初めて。

はじめて、この奇妙なタコを見た時の感動は忘れません!

あれから随分と時が立ち、バリで何度か遭遇してますが、何度見ても「興奮」します。

ミミックオクトパスは、毎ダイブ、必ず遭遇できる水中生物ではありまん。

もし、水中でミミックオクトパスに遭遇したら、慎重に観察してください!

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