ダイビングは安全第一!必ず覚えておきたいハンドシグナル

水中世界での共通語「ハンドシグナル」
ダイビングを安全に楽しむために欠かせないのが「ハンドシグナル」です!
水中では言葉が使えないため、バディやガイド、他のダイバーとしっかり意思疎通をするための大切なツールになります。
PADI オープン・ウォーター・ダイバーコースでも学ぶように、基本のハンドシグナルは約25種類以上あります。
これらを上手く組み合わせることで、水中でもスムーズにコミュニケーションを取ることができます。
ここでは、以下の3つのポイントまとめています。
- 基本的なハンドシグナルの説明と絶対にやってはいけないNG行動
- PADIの新しいハンドシグナルの紹介
- 海洋プラスチック問題に関わるハンドシグナル
ダイビング前の復習にお役立出下さい!
ダイビングに必要な基本的ハンドシグナルとNG行動

- ①ボート(Boat):
ダイビング中にボートへ戻る必要があるときや、ボートの位地を確認する際に使います。 - ②呼吸(Breathe):
「ゆっくり深く呼吸をして下さい」という意味のシグナルです。
スキューバダイビングでは、深くゆったりとした呼吸が基本。
もし、水中であなたのバディが不安で呼吸が浅くなってしまったら、「㉑私を見て」→「②ゆっくり深い呼吸をして」の順で示しましょう。
やってはいけないNG行動は、浅く早い呼吸と呼吸を止めてしまうこと - ③こっちに来て(Come here):
「こっちに来て!」とバディを呼びたいときに使うシグナルです。
特に面白い生物を見つけたときや、何か伝えたいことがあるときに活用します。

- ④危険、危ない(Danger, hazard):
主に、水中で危険な生物や物に遭遇した時に使用します。
※(バリには、オニダルマオコゼ、シロガヤ、ゴマモンガラなど生息します) - ⑤トラブル、助けて (Distress):
(水面からボートや岸にいる人にトラブル・危険を伝える時に使います) - ⑥潜降(Down, descend):
水面で「これから潜りますよ!潜降しましょう!」という意味のハンドシグナルです。
バディと「これから潜降すること」を確認をしあう時に使います。
ファンダイビングでは、ダイブガイドがこのシグナルを全員に向けて出します。
もし、準備が整っていなかったら、「⑲ストップ、ちょっと待って」の合図をだし、準備ができたら「⑭OK」シグナル→「⑥潜降」へと続きます。
※水面では、必ずバディ/ガイドの近くにいましょう!
やってはいけないNG行動は、一人だけ離れた場所にいたり、グループやバディに背を向ける事です。 - ⑦耳が抜けない(Ears not clearing):
潜降中やダイビング中でも、「耳が抜けない/抜けにくい」時に使います。
通常、このハンドシグナルと「⑱何か変だ」を組み合わせて使う場合が多いです。
「⑱何か変だ」→「⑦耳が抜けな」って感じです。

- ⑧バディーと一緒に(Get with your buddy):
バディと一緒(近く)にいてください。というハンドシグナルです。
※バディの近くでダイビングをするのが鉄則です。
やってはいけないNG行動は、バディとコンタクトの取れない離れた場所でダイビングをすることです。 - ⑨浮上、ダイビング終了(Go up, end the dive now):
「これからダイビングを終了し、浮上しましょう!」というハンドシグナルです。
バディ/ガイドがこのハンドシグナルを出したら、OKなら「OK」の合図をだします。 - ⑩手を握り合って(Hold hands):
疲労ダイバーや、不安を抱えているダイバーに使う場面が多いです。
陸上でもそうですが、こんな時に手を握りあうと落ち着きますよね。 - ⑪空気(エア)はどのくらいが残ってますか?(How much air do you have?:
これは残圧の確認をするハンドシグナルです。ゲージの残圧計を指さす場合も多いです。
空気(エア)の残量を聞かれたら、残圧を数字で示しましょう。
水中で数字の表すハンドシグナルがあるので、事前に覚えておくとスムーズに伝えられます。 - 残圧はバディ同士でこまめに確認しあうことが大切です。
ファンダイビングではガイドがこのシグナルを出すので、正確に答えましょう!
やってはいけないNG行動は、間違えた数字を伝えたり、ごまかして報告する。
これは非常に危険な行為です。最低でも50bar残して浮上するのが基本。必ず正確な残圧を伝えましょう!

- ⑫寒い(Cold):
水中では想像以上に体温が奪われやすいため、。寒くなったら我慢せずにすぐに伝えましょう。
ちょっとだけ寒い、すごく寒い、なんて表現の仕方もあります。
やってはいけないNG行動は、寒くても一人で我慢すること!寒さはストレスになります。 - ⑬エアが少ない(Low on air):
ダイビング中のエア(空気)消費量は人それぞれ違います。
バディと同じペースで潜っていても、自分の方が早く消費することは十分ありえます。
エアが少なくなってきたら、必ずバディに伝えましょう!
※(ダイビング中は残圧はこまめにチェックし、バディと確認しあうのが鉄則。
絶対にやってはいけないNG行動は、残圧を全くチェックせず、気づいた時はかなり少なかった!
これは非常に危険です。早めの確認と報告が安全なダイビングの鍵です。 - ⑭OK
ダイビング中の基本となるOKシグナル!
バディやガイドからOKか?と確認されたら、問題がなければ「OK」シグナルを返す。
もし、問題がありOKでなけれ「⑱何か変だ」などOKではないシグナルを出してください。
やってはいけないNG行動は、OKでないのに、OKと出すこと - ⑮エアがない (Out of air):
エア切れの時に使います。
ダイビング中、絶対にあってはならないこと。
※(残圧はこまめにチェックする事が大切です。そして、常にバディの近くでダイビングをする。
やってはいけないNG行動は、この真逆の行動。ファンダイビング中、ガイドに残圧を聞かれた時だけチェックするのではなく、常にチェックする習慣を付けましょう!

- ⑯エア(オクトパス)を下さい/エアをシェア(Share air):
エア(空気)が少なくなった/エア切れの際に使う非常に重要なシグナルです。
バディのオクトパスからエアをもらいます。
やってはいけないNG行動は、いきなりバディのオクトパスを奪い取るのは辞めましょう。
奪い取られた方はビックリします。
※必ず、相手の目を見て、ハンドシグナルを出してからエアをもらいましょう! - ⑰ゆっくり、落ち着いて/スロー・スロー (Slow down, calm down)
水中でバタバタ慌てたり、焦って速く泳ぎすぎているダイバーがいます。
このようなダイバーには「ゆっくり・落ち着いて」というハンドシグナルを使います。
※ダイビングはレースではないので、ゆっくり呼吸をし、ゆっくり泳ぎます。
やってはいけないNG行動は、水中でバタバタと無駄なエネルギーを使うこと。 - ⑱何か変だ、何かおかしい (something’s wrong):
ダイビング中に違和感を感じた時に使うハンドシグナルです。
例えば、耳に違和感を感じた場合は、耳を指で指しながら、「⑱何か変だ」のシグナルを出します。
ファンダイビング中、ガイドに「OKですか?」と聞かれた際、問題があれば問題のある個所を指さしながら「⑱何か変だ」で返答。
その時、「⑲ストップ、待って」と組み合わせても使えます。「⑲ちょっと待って」→「⑱なにか変だ」。
そうすると、バディやガイドはあなたのそばに行き、「何が変なのか?」や「大丈夫か?」確認します。
やってはいけないNG行動は、何か変でも我慢して、伝えないこと。
違和感を感じたら、すぐに伝えることが大切です。小さな変化が大きな問題につながる前に、早めに対処しましょう。
使用シーンの例- ⑲ストップ、待って (Stop):
ダイビング中、なんらかの理由でその場に留まっていたい時に使うハンドシグナルです。
例えば、以下のようなシチュエーションで使用します。
・疲れた時や呼吸を整えたい時・面白い魚を見つけて観察したい時・写真をとりたい時

- ⑳方向転換、戻ります (Turn the dive, go back):
ダイビング中、なんらかの理由で方向転換する必要がある場合に使うハンドシグナルです。
例えば、次のようなシチュエーションで使用します。
・水中で流れの方向が変わった時 ・先に流れがあると判断した時
※ファンダイビング中は、ガイドが流れやその場の状況に応じてでこのハンドシグナルを使います。
やってはいけないNG行動は、ファンダイビング中にガイドより先に行くこと。 - ㉑私を見て下さい (Watch me):
このハンドシグナルは、注意を自分に集中させ、次の指示や動作に注目してほしい時に使われます。
特にダイビングの講習中にインストラクターがよく使用しますね。
ファンダイビングでも、不安を感じてるダイバーがいた場合、「㉑私を見て」のシグナルをだし、目と目を合わせ、次の指示やアクションを伝えます。 - ㉒どちらの方向? (Which way?):
水中でどっちの方向に行くのか?って尋ねる時に使います。 - ㉓あなたが先に、私は後からついていきます (you lead, I’ll follow):

- ㉔安全停止 (Safety stop):
ダイビングは安全な浮上を確保するために、水深5mで3分間の安全停止を行います。
※安全停止を行う際は、必ずバディの近くで行うことが大切です。
やってはいけないNG行動は、安全停止中に周りのダイバーとの距離を無視したり、他のダイバーとバラバラになったりすること。
PADIで新しく加わったハンドシグナル『体調が悪い』

体調が悪い時はダイビングを控えるのが鉄則
ただ、ダイビング中に体調を崩したり、異変を感じたりする場合もあります。
「体調が悪い」ハンドシグナルは、体調不良や異変を素早く伝えるためにとても役立つシグナルです。
このシグナルを使うことで、バディやガイドに迅速に自分の状態を伝え、適切な対応を取ってもらうことができます。 ※「体調が悪い」のサインがでたら、ダイビングを中止し、速やかに浮上します。

どうやって使うの?
使い方はいたって簡単:!
- 手のひらを自分自身に向け、指を軽く広げます。
- そのまま頭から胴体にかけて楕円を描くように動かします。
以下のステップでバディにサインを出します






「異常あり/何か変」→「体調が悪い」→「浮上」この3が組み合わせとなります。
プラスチックスープの海を救おう!


海洋プラスチック問題を意識したダイバー向けのハンドシグナルは非常に大切ですね。
オランダのPlastic Soup Foundationが作成した「プラスチックP」のハンドシグナルは、ダイバーが海洋プラスチック問題に意識的に取り組むための一つの方法として広まっています。
PADIもブログやツイッターを通し、このハンドシグナルを拡散し、一人でも多くのダイバーが海洋プラスチック問題に関心を持つよう努めてます。
プラスチックPのハンドシグナルの使い方は簡単。
両手で、胸の前で「P」の形を作ります。プラスチックのPを意味します!
プラスチックゴミが海に浮かぶと、見た目がまるで「スープの具」のように見えることから、海洋プラスチック問題の象徴的な表現として、「プラスチックスープ」と呼ばれています。
小さなプラスチックの破片(マイクロプラスチック)を魚達がエサと間違えて食べてしまった例もあります。
ダイビングに行ったら、海に残してくるのはバブル(泡)だけ。ペットボトルをはじめ、プラスチック類は必ず持ち帰りましょう!
ここで明記したハンドシグナル以外にもまだ沢山のハンドシグナルがあります。例えば、「水中生物や魚を表すハンドシグナル」もあります。沢山のハンドシグナルを覚えると、水中でのコミュニケーションがスムーズになり、結果『安全で楽しい』ダイビングにつながります。
ダイビングをする前は、必ずバディ同士/ブリーフィングで「ハンドシグナル」の確認をしましょう!
※「バディチェック」をお忘れなく!