カミソリウオ科5種類ご紹介|擬態上手は謎多き生き物
カミソリウオ科の仲間5種類と、彼らの変わった生態を紹介!
水中には変わった魚が沢山います。
生涯、頭を斜め下に向けて生活するカミソリウオの仲間もその一つ。
英語で、カミソリウオ科に属する魚を総称して『ゴーストパイプフィッシュ』と呼びます。
名前の由来通り、彼らは水中をフワフワ漂い、お気に入りの場所を見つけ定着したかと思うと、幽霊のように消える。
擬態上手な彼らは、周囲の環境に溶け込むように体の色や形を変えます。
カミソリウオ科の親戚、タツノオトシゴやヨウジウオは主にオスが抱卵。
メスが抱卵するのカミソリウオは特殊な存在です。
バリ島で見られるカミソリウオの種類と、ユニークな生態を一緒に見て行きましょう!
カミソリウオ科は小さな家族|親戚はタツノオトシゴやヨウジウオ
- 目(order):Gasterosteiformes/トゲウオ目
- 亜目(Sub-Order) : Syngnathoidei/ヨウジウオ亜目
- 科(family):Solenostomidae /カミソリウオ科
- 属(genus) : Solenostomus /カミソリウオ属
- 種(Species): 5種類
カミソリウオ科は、たった一属で構成されている小さな家族です。
彼らの親戚(トゲウオ目)は、タツノオトシゴ、ヨウジウオ、ヘラヤガラ、ヘコアユなど。
みんな特徴的でユニークな型をした魚です。
カミソリウオ科5種類ご紹介|学名、英名、和名含めます
英語でカミソリウオ科の魚を検索すると、『カミソリウオ科は6種類に分類』と言う記事が結構でてきます。
確かに、6種全てに学名があります。
自分なりにそれぞれの特徴を調べると、どうしてもSolenostomus armatus (Long tail ghost pipefish/ロングテール)の見分けが難しく、壁にぶちあたりました。
Long tail ghost pipefish(ロングテール)は『Robust ghost pipefish (カミソリウオ)と比べ、肛門の後ろにあるヒレ(尾柄・びへい)/(英:caudal peduncle)が細く長い』ようです。そうなると、ホソフウライウオとの区別が難しくなります。
そんなこんなで調べていくうちに、Wikipediaに『ホソフウライウオ/Solenostomus leptosoma(Delicate ghost pipefish)とロングテール/Solenostomus armatus (Long tail ghost pipefish)と同種とみなされた』という説明を見つけました。
他にも、その様な記事を見つけることが出来たので、多分そうでしょう。
その他の種類
- ベルベット・ゴーストパイプフィッシュ
まだ学名が無く、正式に記載されていない種(Solenostomus SP)でベルベット・ゴーストパイプフィッシュ(Velvet Ghost Pipefish)がいます。 - ヘアリーゴーストパイプフィッシュ
Hairy Ghost Pipefish ( ヘアリーゴーストパイプフィッシュ)はSolenostomuspaegnius/ラフスナウト・ゴーストパイプフィッシュの一種(変形)です。
カミソリウオの変わった生態
「カミソリウオ科」の魚はヨウジウオやタツノオトシゴと密接に関連していますが、大きく2点の違いがあります。
【カミソリウオ科とヨウジウオ/タツノオトシゴの大きな違い】
- 「カミソリウオ科」には背びれが2つと大きな腹びれがありますが、ヨウジウオとタツノオトシゴには背びれが1つしかなく、腹ビレはありません。
- タツノオトシゴやヨウジウオはオスが卵を孵化させますが、カミソリウオ科はメスが卵を抱卵し、孵化させます。
ニシキフウライウオのライフサイクル
ニシキフウライウオのオスは求愛ダンスを行いながらメスに近づき、メスの下側にある育児嚢(brood pouch)に受精させます。
その後、メスは孵化するまで約14日~17日間、腹びれの中で抱卵(ほうらん)します。
手前の大きい方が雌(メス)です。雌は雄の2倍の大きさと言われてます。
メスのお腹の部分をよく見ると、沢山の卵を抱えているのが分かりますか?
数日後には、卵にくっきりと目が見えてくるでしょう。
ニシキフウライウオは最大300~350個の卵を抱えると言われてます。
ハッチアウトの瞬間、見てみたいですね!
ニシキフウライウオの生活は海流に幼生が漂うことから始まります
赤ちゃんのニシキフウライウオは殆ど透明
彼らは生まれて間もない時から人生の大半を海中を漂い、海底での居場所を探します。
一旦、居場所を見つけたニシキフウライウオは、その環境に応じて体の色と形を変えます。
すっかり周囲の環境に溶け込んだら、また新たな雄と雌の求愛が始まります。
バリ島で見られる『カミソリウオ科の種類』
バリ島でい一番多く見られるのは「ニシキフウライウオ」です。
カミソリウオ科の種類の中でも、ひときわ目に付く存在。
色のバリュエーションも豊富で、外国人ダイバーに人気が高い種です。
バリ島の水中には彼らが好むウミシダ類やヤギ類、ヒドロ虫の仲間が沢山生息。ニシキフウライウオは、それぞれの色に合わせてそ擬態。
色違いのペア。
集団で1か所にかたまっている時もあります。
カミソリウオやホソフウライウオは、バリ島のマクロポイントでよく見かけます。
こちらは、カミソリウオ
ラフスナウト・ゴーストパイプフィッシュはバリ島でもレアな存在ですが、トランベンやアメッド周辺のマクロポイント、PJで見かける時もあります。
ハリメダゴーストパイプフィッシュ(Solenostomus halimeda)はハリメダと言う藻類の近くに生息する傾向があり、緑色のハリメダ海藻に擬態する特徴があります。
残念ながらバリ島ではレアです。
バリ島の水中世界は不思議な生物で溢れている
バリ島でダイビングをしていると、沢山の変わった水中生物達に出会います。
擬態の達人、変身ダコミミックオクトパス。オスからメスに性転換するクマノミ達。成長と共に体の色を変えるハナヒゲウツボ。
バリ島大物ダイビングで人気のマンボウもまだまだ不思議に満ちた生き物です。
水中世界には沢山の不思議が存在し、我々ダイバー達に新しい発見を与えてくれますね。
全ての水中生物達に特徴があり、それらを知ることでダイビングの楽しみ方の輪が広がります。
次回、水中でゴーストパイプフィッシュを見たら、じっくり観察してみて下さい!
ハッチアウトの瞬間や、ニシキフウライウオの赤ちゃんが海中をさ漂ってる姿、見てみたですね~!
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