謎多き海の優しい巨人「マンタ」について知ろう!
世界最大級のエイである「マンタ」は、美しい泳ぎと穏やかな性格から「海の優しい巨人」として多くの人々を魅了しています。
特にバリ島では、一年中マンタを見ることができ、ダイバーたちから絶大な人気を誇ります。
マンタはフレンドリーで、人を傷つけることはありません。
むしろ、彼らの好奇心旺盛な性格や高い知能が、多くのダイバーたちの注目を集める理由になってます。
水中で列を成して現れるマンタを見ると、その迫力ある泳ぎに圧倒されること間違いありません。
マンタに関する研究は、現在世界中で進められていまが、未だ多くの謎や不明点が残されています。
この記事では、
- マンタの基本的な知識
- 生態に関する情報
- マンタの繁殖行動や驚くべき知能レベル
など興味深い研究データを一挙にまとめてご紹介します。
マンタの魅力にどっぷりと浸かり、その神秘的な世界を探求してみませんか?
マンタとエイの違い
マンタはエイの仲間。
マンタもエイも大きな胸ビレを持ち、外見上は似ているように見えます。
しかし、実際には異なる科に属し、多くの点で違いがあります。
マンタは、トビエイ目イトマキエイ科イトマキエイに属します。
一方、英語で「スティングレイ」と呼ばれるエイの代表的な種は、トビエイ目アカエイ科に属するアカエイやヤッコエイ。
また、トビエイ科に属するマダラトビエイなどです。
マンタは尾に毒を持ちません。知能レベルが高く穏やかな性格とされ、外洋または海岸線の近くのサンゴ礁に生息します。
一方、スティングレイ(エイ)の多くの種は尾に毒を持ち、比較的内気な性格ですが、追いつめられると攻撃的になる場合もあります。また、スティングレイはマンタより広範囲に分布しています。
このように、マンタとスティングレイは生態も異なることが分かります。
マンタとエイ(スティングレイ)の違い
マンタ | スティングレイ | |
---|---|---|
目の位置 | 頭の上 | 体の上 |
口の位置 | 頭の前 | 頭の下 |
サイズ | 世界最大のエイ (オニイトマキエイ)は6mを越すサイズ | 大きさはまちまち。 ホシエイのように最大2m重さ350kgに成長するのもいれば、アトランティックスティングレイのように25cmで重さわずか2kgのもいる |
尾 (毒針) | 尾に毒針がない | ほとんどの種で尾に毒針を持つ |
摂食行動 | 動きながら、海水ごと飲み込み鰓を使ってろ過するように食べる (濾過摂食) | デビルレイ(イトマキエイ以外は底を這うように食べる) |
交尾方法 | 交尾の初めにマンタトレインを作り、オス連なってメスを追う | |
寿命 | 40年~50年 | 15年~25年 |
知能 | 魚類で最大の脳を持ち、知能が高い | |
性格 | 穏やか | 比較的内気で接触を避ける傾向がある。 追いつめられると攻撃的になる |
生息地 | 外洋または海岸線ちかくのサンゴ礁 | マンタより広範囲に分布。 外洋、海底、サンゴ礁の近く、淡水の川にも住む |
回遊魚 | 水底でじっとしていることも多い |
の違い
マンタは眠らない?
マンタは回遊性の魚で、多くのエイのように水底でじっとしていることはありません。
マンタは眠らないのではなくじっとして「眠れない」んです。
マンタは、口を開けて泳ぎ、海水に溶け込んだ酸素を常に取り入れながら呼吸します。
これは、ラムジュート換水法と呼ばれる方法で、水を通して鰓から酸素を取り入れることで呼吸をしているのです。
そのため、マンタは泳ぎを止めると酸欠状態になってしまい窒息死してしまいます。
マンタはラムジュート換水法(Ram ventilation)で呼吸をしているんだ
エイ・マンタの生物分類階級
エイ(Batpodae) | |||
トビエイ目(Order) | |||
Torpediniformes | シビレエイ | ||
Rhinopristiformes | ノコギリエイ | ||
Rajiformes | ガレキエイ | ||
Myliobatiformes | トビエイ目 | ||
亜目(Sub-order) | |||
Platyrhinoidei | |||
Zanobatoidei | |||
Myliobatoidei | トビエイ亜目 | ||
科(Family) | |||
Hexatrygonidae | ムツエラエイ科 | ||
Plesiobatidae | ウスエイ科 | ||
Urolophidae | ヒラタエイ科 | ||
Urotrygonidae | ウロトリゴン科 | ||
Dasyatidae | アカエイ科 | アカエイやヤッコエイなど | |
Potamotrygonidae | ポタモトリゴン科 | ||
Gymnuridae | ツバクロエイ科 | ||
Myliobatidae | トビエイ科 | マダラトビエイ | |
Mobuidae | イトマキエイ科 | マンタ | |
属(Genus) | |||
イトマキエイ属 | Mobula alfred | Reef manta ray | ナンヨウマンタ |
Mobula birostiris | Giant oceanic manta ray | オニイトマキエイ | |
Mobula hypostoma | Atlantic pygmy devil ray | タイセイヨウイトマキエイ | |
Mobula kuhlii (eregoodootenkee) | Shorthorned pygmy devilray | ||
Mobula mobular (japanica) | Spinetail devil ray | イトマキエイ | |
Mobula munkiana | Munk’s pygmy devil ray | ムンクイトマキエイ | |
Mobula tarapacana | Sicklefin devil rays | タイワンイトマキエイ | |
Mobula thurstoni | Bentfin devil ray | ヒメイトマキエイ | |
Mobula rochebrunei |
マンタとスティングレイの違い:(表)Jpg
マンタの種類:マンタは2種類いる
以前、科学者たちは長い間マンタは1種類しかいないと考えていました。
オニイトマキエイもナンヨウマンタも混同されていたようです。
2009年になって、海洋生物学者Andrea Marshall, a Ph.Dにより、マンタはオニイトマキエイとナンヨウマンタの2種類の異なる種がいるとこを発見されました。
そして、2017年の遺伝子検査(DNA)により、これら2種類のマンタはイトマキエイ(Mobula)属に属することが明らかになり、オニイトマキエイ属はイトマキエイ属に統合されました。
イトマキエイ科イトマキエイ属:リスト
2種類のマンタを比べてみよう|体の特徴や生息地
オニイトマキエイとナンヨウマンタは、外見や行動にいくつかの違いがあります。
最も明らかな違いは大きさ、色、生息地です。
オニイトマキエイは、世界最大のエイの仲間である「ジャイアント・マンタ」として知られています。
成長すると全長6メートルを超える大きさになり、サンゴ礁から離れた外洋に生息しています。
一方、ナンヨウマンタは沿岸性で、オニイトマキエイより小さく最大でも5~6メートル。
彼らは熱帯及び亜熱帯地域全体に広く生息しています。
バリ島で見られるマンタは主にナンヨウマンタですが、ナンヨウマンタもオニイトマキエイもは体に付いた寄生虫を掃除するため、クリーニング・ステーションにやってきます。その為、ダイバーがマンタを見るの確率が高くなのは、彼らがクニーニング・ステーションにやってくる時です。
★マンタの中には非常によく似たものや、メラニズムにより体全体が黒くなったブラックマンタという個体もいます。
(ブラックマンタ|マンタが黒くなる理由とその謎を解く)
オニイトマキエイ(ジャイアントマンタ)とナンヨウマンタの違い
オニイトマキエイ | ナンヨウマンタ | |
---|---|---|
学名 | Mobula birostris | Mobula alfredi |
英名 | Giant oceanic manta ray | Reef manta ray |
生息地 | 熱帯および亜熱帯地域全体 | 熱帯および亜熱帯地域全体 |
外洋を回遊 | 沿岸生 | |
体の特徴 | ||
大きさ | 6m以上にある | 5mぐらい |
背中部分 | 白い波紋が口に沿って平行に直線的にある | 白い波紋が後ろに向かってハチの字にカーブ |
口の周り | 黒い部分が多い | 白もしくは薄い灰色 |
腹側部分 | 第5鰓孔(えらあな)に接して黒い波紋がある | 黒い波紋がない、もしくはほんのわずか ダルメシアンのような黒い点がある |
2種類のマンタの比較表:Jpg
オニイトマキエイとナンヨウマンタの見分け方のポイント
オニイトマキエイとナンヨウマンタの見分け方のポイントは以下の3点
- 背中の白い斑紋
- 口の周り
- 第5鰓孔(腹側にある黒い斑紋)
バリ島で見られるナンヨウマンタ
- ナンヨウマンタの背中は黒で腹側は白(例外:メラニズムのブラックマンタ)
- 背中に八の字にカーブした白い斑紋がある。
- 口の周りが白い。
- 第5鰓孔(えあらな)に黒い斑紋がない。
- 腹側にダルメシアンのような黒い点がある
オニイトマキエイ(通称:ジャイアント・マンタ)
- 背中に白い斑紋が口に沿って平行で直線的にある。
- 口の周り黒い部分が多い。
- 腹側の第5鰓孔に接して黒い斑紋がある。
マンタは何を食べるの?
マンタの好物は動物性プランクトンで、カイアシ類、アミ(Mysid shrimp), カニの幼虫、エビ、オキアミ、軟体動物の幼虫や魚の卵などを食べます。
どれくらいの量のプランクトンを食べるの?
マンタは週に体重の約12%~13%のプランクトンを食べます。
例えば、体重約450キロのマンタは週に54キロのプランクトンを食べる計算になりますね。
マンタはどのように獲物を見つけるの?
マンタは視覚と嗅覚を使って獲物を見つけます。
そして、大きな口を開け、海水ごと飲み込み鰓を使ってろ過するように餌をとります。
口から入った不要な海水は、腹側にある鰓孔(えらあな)から排出。
この食べ方を「濾過摂食」と言い、ジンベエザメも同じ方法でエサを食べます。
マンタは下あごに歯があるのに、歯を使わず、
濾過摂食(ろかせっしょく)という方法でエサを食べるんだね。
なぜマンタは深海まで潜水するの?
2020年3月18日Plos Oneに発表されたニューカレドニア大学の研究結果によると、ナンヨウマンタが前例のない深海まで、より頻繁に潜水する傾向があることが分かりました。
研究チームは、9つのPSATタグ(衛星タグ)を使用してナンヨウマンタの行動を調査しました。
その結果、タグ付けされた全ての個体が深度300メートルを超える潜水を行い、中には最大672メートルの潜水をした個体もいました。そして、最も深い潜水のほとんどが夜間に行われたいたことが分かりました。
では、マンタはなぜ深海まで潜水するのでしょうか?
Lassauces氏によると、表層水に存在する動物プランクトンの量は、ナンヨウマンタを維持するには不十分である可能性があるという仮説を立てています。
ナンヨウマンタは餌を求め、深海まで潜水して行くのです。
この研究によって、私達はナンヨウマンタがどのように深海に適応し、生き残っているかについて知ることができました。
謎多きマンタの知能レベルとは?
マンタの脳は握りこぶしほどの大きさでが、マンタはすべての魚の中で最大の脳と体の比率を持っています。
ジンベエザメと比較しても、マンタの脳はジンベエザメの10倍も大きい事が判明しています。
さらに、マンタは全てのエイの中で最大の前脳を持っており、学習、記憶、感覚統合を担う脳の一部を持っていることが分かりました。
マンタは魚類では珍しく大きな脳を持ち、前脳も発達しています。
マンタの研究で世界的に有名なDr. Csilla Ariは、マンタの感覚、認知力、社会的行動をテストする方法を模索した結果、動物の自己認識能力を図るテストで信頼性の高い、ミラー自己認識(MSR)テストを試みました。
マンタは鏡に映った自分を見てどのように反応するか、その調査結果は意外なものでした。
鏡に映った自分の姿を自己認識する動物は、アジアゾウ、バンドウイルカ、チンパンジーやオラウータンなど、脳の大きな種に限られています。しかし、マンタはこのテストに合格し、自己認識能力を持つことが分かりました。
マンタのミラー自己認識テストはどのように行われたのか
2016 年にDr.Csilla Ariは「オニイトマキエイで鏡を使った実験」を行い、マンタは魚類で唯一自己認識能力があるという事を明らかにしました。
実験では、2匹のオニイトマキエイを①鏡のある水槽と②鏡のない水槽で長期間にわたり観測。
その結果、鏡のある水槽にいたマンタは、鏡に映った自分をチェックするかのよに、ヒレを動かしたり、鏡の前で円を描きながら泳いだりすることが多く見られました。
また、別の科学者は、マンタが鏡の前で泡を吹き飛ばした動画を撮影しています
これらの動きは、自己認識能力がない動物が見せるような社会的相互作用の兆候ではなく、マンタが自己認識能力を持っていること示しています。(※通常、自己認識能力のない動物は、鏡に映った自分の姿に対して、他の動物にとるような社会的・性的・攻撃的な行動をとるようです。)
2014年にDr. Csilla Ariは「マンタの色の変化」について研究発表しています。
その結果、マンタは食後や他の個体に出会うと、背側表面の白い斑紋、お腹の斑点、頭部などの色の変化が起こることが変わりました。ミラー自己認識テストで、鏡のある水槽にいたオニイトマキエイは、自分の姿を見ても色の変化が起こりませんでした。これは、自己認識している証拠になるとされています。
Dr.Csilla Ariは上記の点から、オニイトマキエイは自己認識能力を強く示唆していると結論付けています。
ただし、この結果には異論もあります。
ミラー自己認識(MSR)テストの開発者であるGordon G. Gallup Jr.は、鏡の前での異常な動きは、単に好奇心や探索行動の兆候である可能性があるとコメントしています。また、このテイスト方法で説得力のある再現可能な証拠をのこしているのは、人間、チンパンジー、オラウータンのみであるとも述べています。
マンタがやってくる『クリーニングステーション』とは
クリーニング ステーションとは、魚たひが体や口、鰓に付いた寄生虫を掃除するために集まる場所のことです。
バリ島で見られるナンヨウマンタは、体に付いた寄生虫をお掃除してもらうため、ヌサペニダにあるクリーニングステーションにやってきます。
ホンソメワケベラなど「海のお掃除屋さん」が、体に付いた寄生虫を食べる間、マンタは気持ちよさそうにサンゴの根や岩の上をゆっくり泳ぎます。ホンソメワケベラとマンタは、相利共生にあります。
ナンヨウマンタは多くの場合、同じクリーニングステーションに何度も戻ってくる特徴があります。
これも、ヌサペニダで通年マンタが見られる1つに理由です。
マンタがクニーニングステーションに来る目的は、お掃除だけではありません。
交尾の始まりとなるマンタトレインもクリーニングステーションで見られます。
このように、クリーニングステーションは、マンタにとっても海の生態系とっても重要な役割が持っています。
※オニイトマキエイは世界中の主要な海を泳ぎまわります。
彼らクリーニングステーションに行く頻度はナンヨウマンタよりはるかに少ないようです
マンタの繁殖行動の謎とは?
マンタの繁殖には多くの謎が残されています。
メスのマンタが性成熟に達するには、通常8年~10年かかります。
そして、National Geographicによると、マンタの繁殖速度は遅く、数年に1回、それも通常1匹しか子供を産みません。
マンタの寿命は40年~50年と言われてます。
マンタのオスとメスの見分け方
尾の付け根にクラスパーと呼ばれる2本の生殖器があるのがオスで、ないのがメスです。
マンタの交配プロセス: マンタはどのように求愛するの?
マンタの交配プロセスは、「マンタトレイン」と呼ばれるオスのマンタが列を作って1匹のメスのマンタを追いかけることから始まります。
1 匹のメスのマンタが前を泳ぎ、その後に数匹~数十匹のオスのマンタが続く光景は壮大です。
(※画像をクリックするとYoutubeの動画が見られます)
メスのマンタは交尾の準備ができたら、フェロモンを放出。
オスはメスの上を泳ぎ、翼端を掴み、メスが動かないように固定します。
次に、オスはクラスパー(clasper)と呼ぶ生殖器 の 1 つをメスの総排出膣(クロアカ/cloaca)に挿入して、卵子と受精します。
クラスパーはオスのマンタがメスに精子を受け取るための器官で、腹鰭(はらびれ)の延長部に位置します。
オスには2つのクラスパーがありますが、受精が試みられるときに使用されるのは1つだけです。
※「メスのマンタがどのようにパートナーを決めるのか」を示す決定的な研究はありません。
マンタの妊娠と出産
マンタの妊娠と出産について、National Geographicの記事によると、メスのマンタが性成熟に達するには、通常8~10年かかり、この連例になると、求愛プロセスが始まります。
マンタは数年ごとに 1 回、通常は 1 匹(場合によっては 2 匹)の子を産む傾向があります、
妊娠期間は約12~13か月。
(※IUCNのレポートによれば、ナンヨウマンタは4~5年に一回出産するとされています。)
マンタの妊娠の最初の兆候は、人間の妊娠と非常によく似ていて、腹部の拡大から始まります。
ただ、人間と違う点はマンタには胎盤やへその緒がなく、
胎児は別の方法で栄養を取らなければならないんです。
胎児はどのよに栄養を得てるの?
お母さんの子宮内で子宮液を吸収して栄養源にしているだよ
2009年6月、沖縄にある美ら海水族館は2回目の出産に成功。
水族館の研究者によれば、胎児のマンタは 子宮内でリズミカルに呼吸をし、口を繰り返し開いたり閉じたりすることが分かりました。
※沖縄美ら水族館:マンタの子宮内胎仔の長期モニタリングに成功!
マンタは卵胎生(たいらんせい)で、
母親の体内で卵を孵化(ふか)した後、体外へ産みだします。
マンタの妊娠期間は約 13 か月で、卵ではなく赤ちゃんを産みます。
生まれたばかりの赤ちゃんは、大人の小さいバージョンでほぼ正確なレプリカ。
身長1.30 メートルから 1.50 メートルで生まれた赤ちゃんは、1年で2倍の大きさに成長します。
そして驚くことに、親が世話をしなくても育っていくのです。
参考:
- Manta Pacific Research Foundation
- Researching manta ray brains: Csilla Ari at TEXxTampaBay
- Rapid coloration changes of mana rays (Mobulidae)
- Laboratory of Csilla Ari, Ph.D.
まとめ|マンタを救おう
オニイトマキエイとナンヨウマンタは、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストのカタゴリーの中でも特に絶滅の危険度が高い分類に認定されています。
- オニイトマキエイは2絶滅危惧種(endangered)
- ナンヨウマンタは危急種(vulnerable)
IUCNの2020年の報告書によると、オニイトマキエイの個体数は過去3世代(87年~)で50~79%減少しており、今後も減少が続く可能性があるとされています。
マンタを絶滅へと追い込んでいるのは人間か?
2014年9月にマンタはワシントン条約(CITES)国際取引規制に加わりました。
その直後、インドネシア政府は厳しいマンタ保護規制を作り「世界最大のマンタ保護区宣言」をしました。
政府は、「生きているマンタの方がはるかに経済効果が高い」と考えたのでしょう。
この頃から、インドネシアは世界最大のマンタ漁業国から世界トップのマンタ観光地へと舵取りを変えました。
にもかかわらず、
コモド国立公園で行われた調査結果を見ると、依然として違法な漁業がインドネシアとその周辺で行われています。
地元漁師にとってマンタは高額な収入源であり、誤って捕まえたた場合でも海に返す習慣などありません。
政府は人々の意識を変えることが始めていますが、まだまだ改善が必要です。
また、インドネシアは「プラスチックごみの問題」にも直面しています。
バリ島でも、雨季になると大量のプラスチック・ゴミが海に流れ込み、大きな問題になってます。
海に流れ込んだプラスチックはマイクロプラスチックと呼ばれる小さな破片になり、
マンタはプランクトンと間違えプラスチックの破片を食べてしまうことがあります。
最後は地球温暖化問題です。
地球温暖化によるプランクトンの減少やプラスチック汚染もマ、マンタの生存を脅かしています。
マンタはエサを求め、深海まで潜水しなければなりません。
マンタは成長が遅く、数年に1回しか子供を産みません。
子孫が少ないため、個体が乱獲から回復するのに長い時間がかかる可能性があります。
マンタを救うためには、我々人間が行動を変える必要があります。
マンタは知的でフレンドリーな生き物であり、私達に危害を加えることはありません。