今、バリ島はカエルアンコウのシーズン!
9月中旬頃からバリ島東北部(アメッド)のマクロポイントに沢山のカエルアンコウが現れてます。
アメッドのマクロポイントは基本「Muck Diving・マックダイビング」
一見、何もいない様に見える黒砂の上を這いつくばり、面白い水中生物達を探すダイビングスタイルです。
赤ちゃんカエルアンコウや上手に擬態したカエルアンコウを見つけるのは結構大変。
でも、一旦見つけると、ビックリ! 何匹も固まっているではないか!
カエルアンコウ達をじっくり観察すると『仕草が可愛い!』我々ダイバー達は釘付けです。
今回出会ったカエルアンコウの中で特に目を引いたのが『Nudiantennarius subteres/ヌディアンテナリウス・サブテレス』通称:Lembeth Frogfish (レンベフロッグフィッシュ)
地味系ではありますが、数がすごかった。
1日のダイビングでこんなに沢山のレンベフロッグフィッシュを見たのは初めてです。
興奮のあまり、一挙動画をMAX DIVEのYoutubeチャンネルにもアップしました!
ここでは、日本では少しレアな『Nudiantennarius subteres/(ヌディアンテナリウス・サブテレス)』をご紹介します!
Nudiantennarius subteres(ヌディアンテナリウス・サブテレス)
Nudiantennarius subteres(ヌディアンテナリウス・サブテレス):通称「レンベフロッグフィッシュ」
『レンベフロッグフィッシュ』が発見されたのはフィリピンとインドネシア。
彼らは長いこと正式な名前が無く、カエルアンコウ科の一種『Antennatus sp./Ocellated Frogfish (オセレイテッド・フロッグフィッシュ)』:通称レンベフロッグフィッシュと呼ばれていました。
2017年11月に発表された学科論文(Theodore Pietsch and Rachel Arnold)でオセレイテッド・フロッグフィッシュは『Nudiantennarius subteres/ヌディアンテナリウス・サブテレス』と識別され、再掲載されました。
今でもダイバーの間では通称レンベフロッグフィッシュと呼ばれています。
予断ですが、Nudiantennarius subteresは以前「Deep-water frogfish/ディープ・ウォーター・フロッグフィッシュ」とも呼ばれ、すべて深海で見つかったいくつかの標本からのみ知られていたそうです。
ヌディアンテナリウス・サブテレスの特徴は?
「ヌディアンテナリウス・サブテレス」通称レンベフロッグフィッシュと言えば、黒いボディーにはっきりした眼状斑
を思い浮かべませんか?
特徴① 背ビレ辺りにある大きなオレンジ色や淡い色の眼状斑(Ocellus)があります
かなり特徴的なので他の種と見分けるのは簡単です。

特徴② 尾ビレに沿った白い線(?)ただ、ない場合もあるらし


調べて行くうちに分かったのがですが、ヌディアンテナリウス・サブテレスは真っ黒な色だけではないんですね。バラエティーがあります。
例えば、以下の写真は茶色っぽい色をしてます。
尾びれを閉じていて、眼状紋(眼状斑)が分かりにくいですが、こちらも『Nudiantennarius subteres/ヌディアンテナリウス・サブテレス』でしょう(!?)。(※参考:www.frogfish.ch)


動画から切り抜いたので、良い写真ではありませんが、以下の写真は飛び跳ねたシーンです。
眼状斑と、尾びれを囲む白い線(?)が分かります。


特徴③ 胸ビレ(pectoral fin)の先(つま先みたいなの)が長い


特徴④ 眼状斑の数は必ずしも左右同一ではないようです。また、複数ある場合もあるらしい
例えば、黒っぽい色の『Nudiantennarius subteres/ヌディアンテナリウス・サブテレス』


右側と左側の背ビレ付近にある眼状斑の数が違います。




その他の特徴
- 第1背ビレ棘は第2背ビレ棘より短い。(2番目の背ビレの方が目立っている)
- エスカ(擬似餌)は小さく丸く、短い糸見たいなのが付いている
- エスカ(ルアー)は第2背ビレに沿っている
- 第2背ビレ棘が異常に長く、キマクがない
- 第3背ビレ棘は三角形みたいな形をしている
などが示されています。



何だかますます分かりにくい
見分け方は?
カエルアンコウは大好きですが、一部の種でかなり似ているので、見分けるが困難です。
ベニカエルアンコウ(Spotfin frogfish) とウルマカエルアンコウ(Scarlet frogfish)を見分けるのも難しいですが、『Nudiantennarius subteres/ヌディアンテナリウス・サブテレス』は調べれば知らるほど、ベニカエルアンコウや特にブラキッシュ・ウォーター・フロッグフィッシュとの区別が難しく、頭が混乱します。


カエルアンコウの専門家ではないので、資料を参考に調べた結果、以下の点が分かりやすいと思いました。
① ヌディアンテナリウス・サブテレスもベニカエルアンコウも第二背ビレ下付近に眼状斑がありますが、
眼状斑の感じが違います。ヌディアンテナリウス・ザブテレスの眼状斑ははっきりしたオレンジや黄色、淡い色で大きな丸をリングの様に囲ってます。
② また、ヌディアンテナリウス・サブテレスは第2背ビレ棘に特徴がありますが、ベニカエルアンコウは第1背ビレ棘(エスカ)と第2背ビレ棘の長さの差がほとんどありません。
③ そして、ベニカエルアンコウには皮弁があります。
④ ブラキッシュウォーターフロッグフィッシュ(Antennarius biocellatus/Brackish-Water Frogfish (Twinspot Frogfish)との見分けはかなり難しいです。両者とも第1背ビレ棘(エスカ)は第2背ビレ棘より短く、眼状斑がある。ただ、ブラキッシュウォーターフロッグフィッシュは河口の汽水域などダイバーがめったに行かない場所に生息する為、バリ島で見かけるのはかなり難しいのでは?
バリ島カエルアンコウの種類とシーズン
現在認識されているカエルアンコウの種類は48~52種だそうです。
そのうち、我々ダイバーが目にするのは10種類あるでしょうか?
「10種類だけ~」って思うかもしれませんが、各種にバリエーションがあり、全てをハークして見分けるのは大変です。
特に、幼魚になると難易度はウルトラ級。
バリ島では、通年カエルアンコウを見ることができますが、乾季から雨季の変わり目ぐらいから種類と数が増えてきます。
年によって変化はありますが・・・・基本、雨季は小さくて可愛いお魚達を見ることができます。
バリ島で見られるカエルアンコウ達
バリ島では、オオモンカエルアンコウ、クマドリカエルアンコウ、イロカエルアンコウ、ベニカエルアンコウ、ヘアリーフロッグフィッシュなどがメジャーな種です。バリ島ダイビングのスゴイいのは、それぞれの種類の中で、様々な色や柄のバリュエーションのカエルアンコウが生息することです。
例えば、一言にベニカエルアンコウと言っても、その中には多くのバリュエーションがあります。
①オオモンカエルアンコウ(Antennarius commerson /Giant frogfish):バリ島の様々なダイビングスポットで見られまし。パダンバイのジェティでは季節により、泳ぐオオモンカエルアンコウ達が出没します。
②クマドリカエルアンコウ(Antennarius maculatus /Warty Frogfish):アメッドやトランベンのマクロポイントで見かけます。
③ベニカエルアンコウ(Antennatus nummifer /Spotfin frogfish)や④イロカエルアンコウ(Antennarius pictus /Painted)もアメッドやトランベン周辺のマクロポイントで見かける頻度が多いです。
⑤学名Antennarius striatusの和名はカエルアンコウ(Antennarius striatus/Hairy Frogfish)
ヘアリーフロッグフィッシュはアメッドやトランベン周辺のマクロポイントで見かけます。 稀にですがプリジャティ(PJ)で見たことがあります。
⑥ヌディアンテナリウス・サブテレ(通称レンベフロッグフィッシュ):以前トランベン周辺のマクロポイントで見ましたが、今回はアメッドに多く出没してます。
⑦ボンボリカエルアンコウ (Antennarius hispidus/(Hispid Frogfish (Shaggy Frogfish); 他の種と比べ、見られる頻度は低いですが バリ島北東部にあるシークレットベイに出没します。
⑧ハナオコゼ(Histrio histrio /Sargassum Frogfish):バリ島ではかなりのレアもの。季節的にアメッドのマクロポイントに出没する時もあるようです。
フォト派ダイバーにも人気の高い『カエルアンコウ』は、魚類の中でもチョット変わった生態の持ち主です。
バリ島の海でじっくりカエルアンコウを見てみませんか?
きっと、大好きになりますよ。
※参考資料:Teresa Zubi さんのwww.frogfish.ch
カエルアンコウについてかなり詳しく説明されているので、おススメです。





