バリ島ダイビングライセンス取得|家族で挑んだ講習と初ファンダイブ

バリ島でオープン・ウォーター・ダイバーになり、直ぐにファンダイビングにも参加したご家族のストーリーを紹介します。講習に取り組む姿勢やファンダイビングへの向き合い方がとても印象的だったので、ブログにまとめました。
お父さん、お母さん、そして12歳の娘さんがダイビングライセンスを取ろうと思われたきっかけは、何度か体験ダイビングを楽しむ中で芽生えた、ある気持ちからでした。
「ガイドに支えられて楽しむのでなく、もっと自由に潜ってみたい!」
そんな思いから講習に参加され、ダイビングスキルを身につけていったご家族。
そして迎えた初めてのファンダイビングでは、講習では気づかなかった新たな発見や、特別な感動が待っていました。
オープン・ウォーター・ダイバーコースは、スキルを”こなす”ためのものではなく、『できるようになる』ための時間です。
初めて講習に参加する方の多くが、ワクワクと緊張を抱えながらも「しっかり学びたい」「安全に楽しめるようになりたい」という思いで一歩を踏み出します。
今回のように、一つひとつのスキルにしっかり向き合い、自分の力として身につけていく姿勢は、これから講習を受けようとしている方や、「ちゃんとできるかな?」と不安を感じている方にとって、きっと参考になるはずです。
家族で挑戦したオープン・ウォーター・ダイバーコース、しっかり学ぶ!

講習の初日から印象的だったのは、このご家族の”取り組み方”でした。
一つひとつのスキルに対して、ただ手順を覚えるのでなく、「なぜそれが必要なのか」「どういう場面で役立つのか」を考えながら、丁寧に向き合っていました。
一見すると当たり前のことのように思えますが、実際にはそれを意識して練習するのは、なかなか難しいものです。
とくに中性浮力に対しては、焦ることなくじっくり向き合い、何度も繰り返し練習。
さらに、お母さんはお自身の顎の力が弱いかもしれない…と事前に感じていたそうで、「もし水中でレギュレーターが外れたら心配」と考え、顎の筋力を鍛えるためのグッズまで購入して練習に取り入れていととのこと。
そうした入念な準備や、見えないところでの努力からも、真剣な気持ちがひしひしと伝わってきました。
中性浮力の重要性と、身につけるための時間
中性浮力は、水中を快適に、安全に、そして楽しく過ごすために欠かせない技術のひとつです。
BCD(浮力調整装置)の操作に加えて、呼吸によるコントロールも求められ、実はとても奥が深いスキルでもあります。
この中性浮力を身につけるために、ご家族はコツを掴むまで粘り強く練習を重ねました。
できた瞬間には、こちらも思わず感動!
プールで基本スキルの習得をすべて終えたあとも、「ホバリングの練習(中性浮力を保ち、その場でピタッと止まるスキル)を繰り返し、「確実にできる」と思えるレベルまで仕上げていきました。
スキルを「知っている」だけでなく、「使えるようになる」ことの大切さを、翌日から始まった海洋実習や、初めてのファンダイビングで通じて、しっかり実感されたようです。
海洋実習で実感した、自身とスキルの定着

プール講習を終えたご家族が次の日に向かったのは、パダンバイの海。
海洋実習では、落ち着いた動きと確かなスキルが随所に見られ、プール講習での成果がしっかりと表れていました。
特に印象的だったのは、スムーズな潜降と水中でのバランスのとり方です。
フリー潜降(ロープを使わずに潜降する方法)では、体を縦に保ち、インフレーターホースをしっかり上に上げてBCDの空気を抜くという、基本に忠実な姿勢をキープ。
呼吸もしっかり吐きながら、バディとと目を合わせ、耳抜きが間に合うペースでゆっくりと潜降できました。
ある程度沈んだところでBCDに空気を入れ、浮力を整えることで、水底を蹴ることなく美しい姿勢でダイビングをスタートできました。
このフリー潜降は、シンプルに見えて、実は初心者ダイバーがつまずきやすいポイントでもあります。
たとえば、初心者の方はこんなことが起こりがちです:
- 潜ろうとする意識が強すぎて、体が水平気味に傾く
→BCDの空気がうまく抜けず、沈めない - 潜ろうと焦って、手を使ったりフィンをばたつかせてしまう
→逆効果で、かえって沈みにくくなる - 潜降スピードが速くなりすぎて、耳抜きが間に合わない
- お尻から沈んでしまい、姿勢が崩す
- 浮力のコントロールがうまくいかず、無意識にフィンで砂を巻き上げたり、サンゴを蹴ってしまう。
このご家族は、プール講習でその点をしっかり練習してきたことが、海洋実習でも確実に活かされていました。
潜降スピードが速すぎて耳抜きが追い付かない時の対処法や、万が一お尻から沈んでしまって時の姿勢の立て直し方まで、身につけていたんです。

水中でも中性浮力をしっかりキープできていたため、小さな沈船の中を通り抜けたり、家族3人での集合写真やウミガメとの写真も、落ち着いて撮ることができました。
エア消費の課題
バディ同士でしっかりと残圧の確認をしながら、落ち着いてダイビングを勧めていました。
そんな中で見えてきた課題は、お父さんのエア消費が、お母さんと娘さんよりも早かったことでした。
お父さんは、「自分のせいで早く浮上するのが申し訳ない」と感じていたようですが、こうした気づきこそ、次のダイビングに活かせる大切なステップです。
決してバタバタしていたわけではなく、研究熱心なお父さんは、落ち着いた動きの中で、ゆっくりとしたあおり足を意識して練習したり、呼吸の仕方にもますます関心を持たれていました。
エア消費のペースはそれぞれなので、まずは自分のペースを知ることが、無理のないダイビングにつながっていきます。
OWコースから実践へ、初めてのファンダイビング

初めてのファンダイビングは、ご家族のリクエストでトランベンの沈船「リバティ号」へ。
歴史あるこの沈没船は、全長120メートルもあり、バリ島でも人気のダイビングスポットです。
今回は、愛用のGoProも持参。沈船の周囲をじっくり探検してきました。
やはりファンダイビングは、講習とは勝手が違います。
実際に海を楽しむ中で、「こうしたい」「もっとこうできたらいいな」といった、講習中には出てこなかった新たな疑問や発見がいくつもありました。
OWコースで学んだバディシステム、ファンダイビングで感じた疑問

「バディとの位置関係はどこがベストか?」など、バディシステムに関する質問が多く飛び出しました。
中でも印象的だったのが、次のような問いです。
「2人とも沈船の壁側にいたい場合、バディと横並びだと不公平になるし、縦並びだと、バディの顔が見えません。
どうするのが正解ですか?」
これは、私にとっても初めて受けた質問でした。
この場合、ダイビングポイントの特徴をブリーフィングでしっかり理解したうえで、バディと「どう潜るか」「どちらがどの位置をとるのか」などを事前に相談しておくのがベストですね。
ダイビングは常にバディとコンタクトを取り続けること、そして一息で近づける距離感を保つのが理想です。
それを実践しようとする姿勢は素晴らしかったのですが、実際のダイビング中には近づきすぎてフィンでバディを蹴ってしまうシーンも見られました。「近すぎず、離れすぎず」の距離感を体で覚えていくとこも大切ですね。
オープン・ウォーター・ダイバーコースは「未来につながる」準備

オープン・ウォーター・ダイバーコースは「こなす」ためのもではなく、「未来につながる」準備の時間。
コースを通して得た自信とスキルは、そのままファンダイビングの安心感や楽しさにつながってきます。
実際「しっかりやると、こんなに楽しめるんだ!」という声が聞こえたとき、講習の価値がはっきりと感じられました。
手早くライセンスを取得したいというニーズもありますが、本当に大切なのは「自分が安全に楽しめるスキルを、きちんと身につけられるかどうか」ということです。
人それぞれ、体力の理解のスピードも経験も違います。
焦らず、自分のペースで「できるようになる」ことを大切にして下さい。
その積み重ねが、きっとダイビングをもっと楽しく、もっと自由なものにしてくれます。