バリで苦手だったホバリング・中性浮力を克服

「ホバリングをマスターしたい!」
今回、このスキルの練習をリクエストしてくれたのは、ダイブマスターの長ちゃん。経験本数も増え、ダイブマスターになったものの、「中層でピタッと止まるのがどうしても苦手…」という悩みを抱えていました。

DMなのに、ホバリングが苦手なんて今更人に言えないよ~
そんな長ちゃんが一念発起し、「納得いくまでホバリングの練習がしたい!」とワンツーマンで特訓することに。
今回は、どのようにホバリングを練習し、コツを掴んで苦手を克服したのかを紹介します!
ホバリングの練習:頑張った成果
長年苦手だったスキル「ホバリング」を克服
「ホバリング」(Hovering) とは、中性浮力を保ったまま、中層で手足を使わずピタッと静止するスキルです。
一見難しそうに感じるかもしれませんが、水中で細かな浮き沈み調整し、ホバリングができるようになると、ダイビングがもっと楽しく、快適になります。
- 水中で無駄な動きを減らせる ⇒ 疲れにくく、エア-を無駄に消費しない
- 水中環境を守れる ⇒ サンゴや生物を傷つけない、環境に優しいダイバーに
- 安全停止がスムーズ ⇒ 中層でロープなしでも安定して停止でき、安全性アップ
- 砂を巻き上げない ⇒ 他のダイバーの迷惑にならない
- 水中で自由にコントロールできる ⇒ 特に、フォト派ダイバーには必修のスキル!
まずは自分のやり方で『ホバリング』に挑戦|苦戦した点
まずは、今までのやり方で「ホバリング」に挑戦してみました。
しかし、
- 体が大きく上下してしまう
- フィンの先が何度もプールの底に触れてしまう
- 中層でピタッと止まることができない
- 頑張れば頑張るほど、不安定になってしまう
「ホバリングってこんなに難しいの!?」と、改めてスキルの奥深さを実感…。
このままではダメだ!と、根本的な改善に取り組むことにしました。
こんな風にプールで「ホバリングの練習」をしてみた結果



全く上手くできない。どうしたらいい?
そんな時のポイントは 焦らず、浮き・沈みのタイムラグを意識すること!
プールの壁の線を目印にし、そこに目線を合わせて練習してみました。
- まずは完全に空気を抜いて、しっかり沈んだ状態からスタート。
STEP 2 & STEP 3(同時進行):BCDの空気調整 & 呼吸で微調整
- BCDに少し空気を入れ、息を吸う → 少し時間をおいて浮くか確認!
- 浮かなかったら、またBCDに少し空気を追加し、息を吸う。
- この時、焦ってバタバタしないことがポイント!
- 大切なのは「時間差(タイムラグ)」を理解すること!
- 息を吸ってから、体が浮いてくるまで時間差があるので、絶対に焦らない。
- 「浮かない!」と焦って、BCDに大量の空気を入れるのは逆効果!
- 息を吸って体が浮きだしたら、今度は息をはく。
- この 時間差 を意識しながら、呼吸で細かく浮力調整!
目印となるもの を見つけて、そこに目線を固定!
すると、自分の体が上下しているのが分かりやすく、修正しやすい。
こうして少しずつ練習を繰り返すことで、 ホバリングの感覚をつかむ ことができました!
ビデオを見ながら弱点研究。そして発見した点



「息を吸った後に体が浮いてきたら、今度は勢いよく息を吐くべき?」そうしないと、ドンドン浮いて行ってしまう気がして怖い・・・
長ちゃんは、どうしても体が大きく浮いたり沈んだりしてしまいます。
そのたびにフィンの先がプールの底に付いてしまう。
最悪なのは、フィンを使って中性浮力をとろうとしてたこと。
「BCDに空気を入れ、呼吸をしてから体が浮いてくるまでに時間差があることを、よく理解していなかったです。」
タイムラグを意識して練習!
長ちゃん、BCDに空気を入れて呼吸をしてから浮くまでの タイムラグを考えながら 練習してみよう!
- 勢いよく空気を入れたり出したりしちゃダメ。
- フィンを使ってコントロールしようとするのもNG!



えっ,僕フィンを動かしてましたか?
こんな時、ビデオ撮影は有効ですね!
二人でビデオを見ながら悪い点を確認すると、
無意識にフィンを使って浮力を調整していたことが判明。
理屈は分かるけど、上手くできない…!
これはもう 何度も練習して、体で感覚を覚えるしかない!
姿勢やフィンの使い方を変えて試してみることに。
まずは姿勢を変えてみた!
ホバリングは、 「水中で手足を使わずにピタッと止まる」スキル。
だから、 姿勢は関係ない! 横になっても、足を下にしてもOK。
次はフィンの使い方を見直してみる!
長ちゃんの場合、フィンで浮力を微調整する癖があった。
そこで、「フィンを下に向けてにせず、膝を曲げて、手で膝を押させて練習!」
すると、長ちゃんの体がどんどん後ろに反っていく!?
今度は、プラスチックのフィンから重さのあるゴムフィンに変えて練習。
これが大成功。
長ちゃんの場合、ゴムフィンの方がバランスを取りやすかったみたいです。


また二人でビデオをチェックしながら、弱点を研究。
ついに成功!念願のホバリング達成!
終日プールで練習を重ねた結果、「長ちゃんの念願の夢が叶いました」



ずっとこの体制で浮かんでいられますよ~
そして、ついに
プラスチックのフィンでも、どんな姿勢でも、上手くホバリングできるようになりました!
2人でハイタッチ!
ダイビングで苦手なスキルがあったら練習しよう!
ダイビングスキルの練習は、いつからでも始められます!
今回の長ちゃんのように、意識しながら集中して練習することで、苦手も克服できます。
ダイビングスキルは頭で理解するだけでなく、体で覚える事が本当に大切ですね。
ホバリング・中性浮力は「自転車」と同じ!
「ホバリング・中性浮力」の感覚を体で覚えてしまえば、一生モノ!
小さい頃に練習した自転車を思い出してください。
- 一度こげるようになったら、しばらく乗らなくても忘れませんよね?
- ダイビングスキルも同じ!一度しっかり習得すれば、時間が経っても感覚は戻ります!
ファンダイビングでも意識的に練習しよう!
今後、ファンダイビングに行った際も、環境が許せばぜひ練習を!
水中で目標物を見つけて、そこに目線を合わせ「ピタッと止まる」練習を意識してみよう!
長ちゃんの練習後の楽しみ方…
夜は、自分のホバリングしている動画を見ながら、大好きなビールを楽しんでいたそうです。
(ちなみに、3分以上ある長いビデオ だったとか…!)
「これからは、水中写真を撮るのがもっと楽しくなる!」と、やる気満々!
ますます水中写真が楽しくなりますね!

