バリ島マンボウシーズン:潮の変化と地形が関わるマンボウ出現のカギ

バリ島マンボウシーズン、大潮と地形の関係

バリ島・ヌサペニダと言えば、毎年7月~10月の乾季に姿を現す、巨大マンボウ(Mola Mola)!
この時期、マンボウの出現に深く関わっているのが、南東モンスーンによる大規模な湧昇流(upwelling)です。

では、少しでもマンボウとの遭遇率を上げるためには、何を手がかりにすればいいのでしょうか?
その一つのヒントが、「潮のリズム」、特に大潮のタイミングです。

南東モンスーンが生み出す大きな海の変化に加え、日々変化する潮のリズムが、マンボウとの出会いにどのように影響しているのか?

マンボウシーズン中、ヌサペニダの特徴的な地形と潮のリズムが重なり合ったとき、「海のマジック」が起こるのかもしれません。

今回は、「潮のリズム」と「地形の特徴」がどう組み合わさり、マンボウ出現のカギとなるのかを、わかりやすく掘り下げていきます。

目次

潮のリズムを知れば、マンボウに出会えるチャンスが広がる?

大潮の日はマンボウに出会いやすい」とダイバーの間でよく語られています。
これには、長年の観察や経験に基づいた仮説として、一つの興味深い可能性が秘められています。

それは、海底の地形や潮の流れが影響して、冷たい海水が深海から一時的に押し上げる局地的な湧昇流(upwelling)が発生することがあります。この現象が起きると、マンボウが浅場にあるクリーニングステーションに現れやすくなる可能性があるのではないでしょうか?

この湧昇流は、南東モンスーンが引き起こす広範囲な変化とは違い、地形や潮のタイミングによって局所的・短時間で起こるものです。しかし、モンスーンによって整えられた海の環境に、潮の流れや地形がうまく重なると、マンボウが現れやすい状況が生まれる可能性がもあります。

潮のリズムを意識することで、マンボウとの出会いのチャンスが広がるかもしれません。

潮汐とは?ー月と太陽がつくる、海のリズム

潮のリズム「潮汐(ちょうせき)」とは、月と太陽の引力によって、海面が周期的に上下する自然現象です。

特に新月や満月の前後1~2日間は、「大潮(おおしお)」と呼ばれる時期にあたり、潮の満ち引きの差が大きくなり、潮の流れも強くなります

このように強くなった潮流が、ヌサペニダ周辺の急に深くなる海底や複雑なリーフ地形にぶるかることで、深海の冷たい水を一時的に表層に押し上げる現象が起こることがあります。

これは、風によって広い範囲で長期間続くモンスーン型の湧昇流(upwelling)とは異なり、短期的かつ局所的に起こる小さな湧昇流です。

モンスーンによる湧昇流潮汐・地形による湧昇流
原因季節風潮流・地形の干渉
発生時期季節限定(7月~10月)毎月2回(大潮時期)
持続性長期間(月単位)短期間(数時間~数日)
スケール広域局所的
効果生態系全体の変化一時的な冷水・栄養分供給

2025年7月~10月:バリ島の新月・満月・大潮の日程

🌑 新月🌕 満月大潮
7月7月25日(金)7月11日(金)🌑7月23日~27日
🌕7月9日~13日
8月8月23日(土)8月9日(土)🌑8月21日~25日
🌕8月7日~11日
9月9月22日(月)9月8日(月)🌑9月20日~24日
🌕9月6日~10日
10月10月21日(火)10月7日(火)🌑10月19日~23日
🌕10月5日~9日

マンボウが現れる理由:ヌサペニダの地形とロンボック海峡の影響

マンボウ、バリ島ヌサペニダ

ヌサペニダの海底地形は、リーフが広がる浅いエリアから、急激に深くなるスロープや壁状の地形が特徴的です。

これらの特徴的な地形は、強い昇竜が深い海水を押し上げるのに適した条件を提供し、その結果、局所的な湧昇流が起こりやすくなります。

このような地形と潮流の相互作用が、栄養分の豊富な冷たい水を表層に引き上げ、海の生態系に一時的な変化をもたらすのです。

さらに注目したのが、すぐ東に位置するロンボック海峡です。

ロンボック海峡は、太平洋からインド洋へと流れる「インドネシア通過流(ITF)」の通り道になっており、モンスーンと潮汐(ちょうせき)の影響を受けて海流が劇的に変化する場所です。

こうした地形と海流の上限が重なることで、マンボウが現れる可能性が高まります。

ヌサペニダ周辺:マンボウポイントの特徴

ダイビングポイント地形の特徴水深構造潮流の傾向
クリスタルベイエントリーポント両側に浅いリーフ、中央に砂地チャネル、湾内に小島あり。リーフトップ5~8m
→深場へ急激な傾斜→50mを超える壁
時に強い
(特にチャンネル、湾外)
SD浅いリーフプラトー(サンゴ礁上の平な地形)からスロープ4~8m→傾斜で深場へ
15m以深は急な斜面
時に強めのドリフト
ブルーコーナーテラス状の段差構造、深場にドロップオフ(壁)7mーテラス→斜面→25m~40m 壁時に非常に強い潮あり
マンタポイント浅いリーフ→プラトー(サンゴ礁上の平な地形)スロープ,砂地もあり、
→一部深場に壁状の地形あり
リーフトップ約6m~15m→20m以深の一部エリアに壁通常水中は穏やか目、水中時にうねり(サージ)あり

南東モンスーンが整える海、大潮がチャンスを広げるとき

マンボウ、バリ島巨大マンボウとダイビング

バリ島ヌサペニダ周辺の海では、南東モンスーンによって引き起こる湧昇流(upwelling)が、マンボウ(Mola Mola)の出現に大きく関わっています。モンスーンが海の環境を整え、マンボウが姿を現す「舞台」を作り出します。

そして、その舞台でマンボウとの出会いのタイミングとなるのが、大潮のタイミングかもしれません。
大潮は潮流の変化を生み出し、ヌサペニダの地形と相互作用によって海の一部を短期的に活性化させることがあります

つまり、風と潮、それぞれが異なる形で海のリズムを生み出し、マンボウとの出会いのチャンスを作り出しているとも言えるのです。

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バリ島マンボウの動画:
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