ダイビングで苦手『中性浮力』上達のコツ!これで世界が変わる
サンゴ礁の美しい世界を自由自在に泳ぎまわる姿は、想像するだけでウキウキしますね!
ダイビングにおいて、中性浮力とは『水中で浮きも沈みもしない状態』のことを指します。
英語ではNeutral Buoyancyと言います。
似たような意味で、ホバリングHoveringと言う言葉もあります。
英語でHoverは、一定の場所で大きな動きをせずに静止すること。
ヘリコプターが空中でホバリングするイメージです。
ダイビングでは、中性浮力でピタッと止まる状態を指します。
中性浮力は、水中での楽しみ方を変える最大の分岐点!
はじめから上手に中性浮力をとれるダイバーは少ないです。
多くのダイバーが以下のような課題に直面します。
- 中性浮力が下手で潜降で尻もちをついたり、フィンで砂をけったりしてしまう
- うっかり手を使って沈もうとする
- 自転車こぎのような、立ち泳ぎ状態になってしまう
- ダイビングの後半に体が浮いてしまう
中性浮力のコツは、BCDへの空気の出し入れと、呼吸を使って肺で浮力調整するタイミングが!
最初は苦戦することもありますが、中性浮力はコツを覚え、意識してダイビングすることで必ず上手になります。
一度『中性浮力の感覚を体で感じ覚えてしまえば、忘れることはありません。それはまるで、自転車の乗り方を覚えるのと同じです。
ここでは、中性浮力に影響する要因と、その習得に役立つテクニック等をご紹介します。
しっかりとコツをつかんで、中性浮力をマスターしよう!
中性浮力に影響する要因と大切なポイント
中性浮力は、水中での安全性と楽しみを最大限に引き出してくれるカギです。
中性浮力に影響する5つの主な要因
- ウエイト量
- 体に合ったBCDの着用 適正ウエイトで理想的なポジション(姿勢/トリム)をとる
- 適正ウエイトで理想的なポジション(姿勢/トリム)
- BCDに入れている空気の量
- 呼吸でのコントロール(肺のトリム)
中性浮力に大切な3つのポイント
- その場の環境に応じた適正なウエイト量をつける
- 呼吸を整える
- 深度に応じ、少しずつ適切な量のエア(空気)をBCDに送り、呼吸をコントロールして調整をする
BCDの空気の出し入れだけでは、中性浮力は確保できません。
『中性浮力 上達のコツ』を深堀!
ここからは、少し詳しく説明していきます!
体にあったBCDを着用し、適正ウエイトを付け、BCDへの空気の出し入れと呼吸のタイミングが分かれば、
中性浮力は上達します。
なぜ『適正ウエイト』と『体にあったBCDの着用』が必要なのか?
中性浮力を確保するは、適正ウエイトと体に合ったサイズのBCDを着用するのが前提です。
必要以上にウエイトの量を増やすと、水中で体のバランスがとりにくくなります!
また、BCDが小さすぎると、動きにくい。
逆に大きすぎると、水中でタンク(シリンダー)の位置がずれ、体のバランスが崩れやすいです。
これは、水中での姿勢やフィンキックにも影響を与えます。
どちらのケースも、必要以上にBCDへの空気の出し入れの回数が上、不必要な労力を使うことに繋がります。
オープン・ウォーター・ダイバーコースで適正ウエイトの確認の仕方を習いますが、ウエイトの量は使用する器材や環境によっても変わってくるので気を付けて下さいね。
例えば、
- ウエットスーツ:スーツの厚さ(3mか5mか)、スタイル(ロングかショートか)。
新しいスーツか何度も古く使いこんだスーツなのかによってウエイトの量は変わってきます。
新しいウエットスーツは、使い古したウエットスーツより浮きやすいです。
ドライスーツを使用する場合は、相応にウエイトを追加する必要があります。 - タンクのタイプ:タンク(シリンダー)の種類によってもウエイトの量は変わります。
スチールタンクはアルミタンクよりも浮力が弱く、どのシリンダーは空気がなくなるにつれ浮き上がります。。 - ダイバーの体重の大きな変化:基本的に体重が増えると浮力が付きやすくなります。
日本で5ミリのウエットスーツを着ているダイバーが、海外で3ミリのウエットスーツをレンタルした場合、ウエイトの数を0.5キロ~1キロ減らしても良いかもしれませんね。
バリ島ではアルミタンクが主流なので、日本でスチールタンクを使用されている方はウエイト量を1キロ減らしても大丈夫です。
ログブック(ログ付け)の重要性
海外でダイビングをする際に役立つのが、ログブックです。
ログブックにはウエットスーツのタイプ、使用したタンク(シリンダー)の種類、その時の海のコンディションなどを記録します。これは、自己管理のためでなく、旅先での現地インストラクターやガイドの目安にもなります。
※『ボイルの法則』ダイビングに関係する最も大切な物理の法則の1つ。忘れている方はチェックしてね。
ボイルの法則
ボイルの法則は、ダイビングにおいて非常に重要な物理法則に一つであり、これなしに浮力コントロールは語れません。
この法則は、ダイビング器材や呼吸のコントロールが浮力にどのように影響するかを理解するための概念として役立ちます。
簡単に言えば、『温度が一定であれば、気体の圧力と体積は反比例の関係にある』。周囲圧力が増すとガス(空気)の体積は減り、周囲圧力が減るとガス(空気)の体積が増えるということです。
この法則を浮力コントロールに応用すると、潜降していくと水圧が増し、BCDの内の空気、ウエットスーツ、シリンダー(タンク)の内の空気や肺の体積は小さくなります。逆に浮上中は、水圧が減少し、これらの体積は増加します。
★1つの注意点としては、ボイルの法則は、一定の温度でしか動作しません
【重要】呼吸を使って肺の浮力調整!
浮力を調整する際、BCDへの空気の出し入れだけに頼ると体のバランスをとるのが難しくなります。
ダイビングでは, BCDに少しずつ空気をいれ、呼吸(肺/呼吸のトリミング)と組み合わせて中性浮力をとります。
BCDの中の空気の量が同じでも、呼吸によって肺の容量が変化します。
息を吐けば肺が縮み浮力が減少して沈みます。逆に、息を吸うと肺が膨らみ、ゆっくり浮きます。
呼吸と浮力の変化には時間差があります。
息を吐いても直ぐには沈まず、吸っても直ぐには浮きません。
この時間差(タイムラグ)の感覚を体で覚えることが、浮力コントロールをマスターする近道です。
中性浮力の練習方法
状況にもよりますが、中性浮力の練習は意識しながらファンダイビングすることで行えます。
以下が具体的な練習方法です。
水中で目標物を決めて練習
- 穏やかな海での練習が前提となります
- 水中で目標物を選び、その目標物に目線を合わせます
- BCDの空気の量を変えずに、ゆっくりと息を吸ったり吐いたり、呼吸(肺の空気)をコントロールして微調整します
呼吸による深度変化を感じる
- 息を吸い込むとゆっくりと体が浮かんでくることを感じます
- 逆に、息を吐くとゆっくり体が沈んでくることを実感します
- これにより、呼吸による深度変化の感覚を体で覚えこみましょう
インストラクター・ガイドに目線を合わせる
- 中性浮力に自信のない方は、インストラクターやガイドの位置に目線を合わせて、
同じ深度をキープして泳ぐ。
毎回、中性浮力を意識してダイビングする!
ダイビングを始めたばかりの方は、最初はの間隔を開けずにダイビングをすることをおすすめします。
個人差はありますが、目安として、オープン・ウォーター・ダイバーライセンス取得後、間隔を開けずに20本~25本意識しながらダイビングをすることで、体で中性浮力の感覚を掴むことができるようになります。
中性浮力でありがちな失敗
中性浮力でよく見られる失敗の一例は、慌ててBCDに空気を入れたり出したりして中性浮力がうまく取れない状況です。具体的なパターンとしては次のようなことが挙げられます。
焦りからくる乱れ。BCDと呼吸コントロール
ダイビング中、BCDの空気を抜きすぎて、砂地をパタリと体がついてしまうダイバーがいます。
一方で、空気を入れると、過剰に入れてドンドン浮上してしまうこともあります。
ダイビングの後半に見られるケースでは、ダイバーの中には、気付かずに徐々に浮上してしまい、焦ってBCDの空気を抜こうとしても、体勢が悪くしっかり空気が抜けません。息を吐いても、十分に吐ききれておらず、結果的に浮力が生じてしまいます。焦りから、何度もBCDに空気を出し入れし、かえってバランスを崩してしまうダイバーもいます。
ダイビング中は基本的に手は使わない
ダイビング中は基本的に手は使いません。
浮力コントロールが難しいと感じた場合、手を使って体の位置や方向を変えようとするダイバーもいます。
これは労力とエアのムダ使い繋がり、正しい呼吸法やBCDの使い方を身につけるのに時間がかかる可能性があります。逆効果です。
中性浮力でよくある質問
- スムーズな潜降ができない
-
潜降する時はBCDの中の空気を完全に抜きます。その際、思いっきり「ふ~」っとリラックスしながら大きく息を吐きを吐ききることで、ゆっくり体は沈んでいきます。
BCDの空気を抜いた時、急激に沈んでしまった場合は、オーバーウエイトの可能性があります。
一気に沈んで海底で尻もちをついちゃうのはかっこいいものではありませんね。ある程度体が沈んだら、BCDに少しずつ空気を入れ浮力を確保し、呼吸で調整します。
初心者の方の中には、潜降が苦手で、はじめからオーバーウエイトにする方もいますが、これは勧めません。
- ダイビング中、足が沈んで体を水平に保てない
-
水中で体が水平に保てず、足が沈んでしまい、立ち泳ぎのようになってしまう方もいます。その場合は、ゆっくり大きく息を吐き、意識して胸を下にするようにしてみて下さい。水中で正しい体制が取りやすいです。
- ダイビングの後半、タンク内の空気が減ると体が浮き気味になる
-
意識して呼吸をコントロールをしてみて下さい。リラックスして大きく息を吐くことで浮気味になった体制を調節することができまをす。
中性浮力上達コース(ピーク・パフォーマンス・ボイヤンシー)
PADIピーク・パフォーマンス・ボイヤンシー(PPB)コースでは、自分にあったウエイト量の見極め方や、BCDや呼吸による浮力コントロールのコツをより詳しく練習します。
中性浮力のとり方をインストラクターと一緒に練習するのは、浮力コントロールをマスターする近道かと思います。
中性浮力をマスターするとダイビングの世界が変わる!
中性浮力がうまくとれるようになると・・・
- 水中を自由に動き回れる
- 環境にやさしいダイバーになれる
- エアーの消費をセーブできる
- 水中写真やビデオを上手くとれるようになる
- ロープ無しで安全停止が出来るようになる
こんなふうに、自由自在にダイビングを楽しみたいですよね!