ダイビングで苦手な「耳抜き」克服方法!5mまでが勝負
ダイビング中の耳抜き、大丈夫ですか?
正しく耳抜きが出来ないと、痛くて潜降できない。
スムーズに潜降できないと、プレッシャーだし、ダイビングが苦痛になる!
どうしたら上手く耳抜きができるの?
ダイビング中に大切な「耳抜き」について説明します!
①「耳抜き」はダイビング前からはじめる
②潜行して約5mまでが耳抜きの勝負
③水圧の耳の関係:なぜ潜行中に耳が痛くなるの?
④耳抜きのタイミング
⑤耳抜きの仕方
①耳抜きはダイビング前からはじめる
「耳抜きは潜降中するものだ」って思うのが一般的ですが、耳抜きが苦手な人は「潜る前」からはじめると効果的と言われてます。
- 潜る数時間前から地上で数分ごとにゆっくり耳抜きをすることで、耳管が閉ざされる可能性を減らしてくれる
- 潜る前、ボートの上や水面で耳抜きをする
- 潜る前にガムを噛むのも効果的と言われてます
参考:DANが「10 TIPS FOR EASY EQUALIZING」をまとめてます。(PADIジャパンのブログでDANの日本語訳を載せてます)
②耳抜きは最初の5mが勝負
耳抜きは早めに、最初の5mぐらいまでが勝負!
DANいわく、耳抜きをしないと、水深30センチでダイバーは耳に違和感を感じるそうです。
ダイビング中、私たちの体の中で最も圧力の影響を受けやすいのは ①「耳」と②「副鼻腔(ふくびくうえん)/サイナス」。
耳に圧がかかると耳が痛くなる。
だから、耳抜きをして、耳内部の圧と外の圧を同じにしなければいけないんです。
オープン・ウォーター・ダイバー・コースで学んだ
「水深・水圧・密度・体積」の関係?
そうです!
圧力は1mごとに、0.1つづ増加する
↓
そして圧力の変化率は
↓
浅ければ浅いほど大きく、深く行けば行くほど小さくなります
↓
という事は
↓
潜降して浅い深度では頻繁に耳抜きが必要で、深く行けば行くほど、耳抜きの回数は減るってことですね!
上の表を見てもわかるように、横軸が水深。黄色のラインが気圧の変化率を示します。
- 水面から水深1mへ移動すると、1気圧から1.1気圧上昇。変化率は10%
- 水深2mから3mへ移動すると、1.2気圧から1.3気圧に上昇。変化率は8.3%
- 水深10mから11mへ移動すると、2気圧はから2.1気圧に上昇。変化率は5%
- 水深20mから21mへ移動すると、3気圧から3.1気圧に上昇。変化率は3.33%
耳抜きは水圧の変化率が高い水深5mまでが勝負。10mぐらいまでは早めに、こまめに耳抜きをすることが大切ですね。
DANによると、耳の圧外傷は、中耳の圧力が外部環境の圧力と等しくないときに生じ、潜行の最初の14フィート/ 4.2メートルが最も耳の気圧外傷リスクがあると言われてます。
③水圧と耳の関係:なぜ潜行中、耳が痛くなるの?
なぜ、ダイバーは潜降すると耳が痛くなるの?
水圧と耳の関係を知ることで、耳抜きがより理解できますよ!
ダイビング中、私たちの体の中で最も圧力の影響を受けやすい耳。
具体的には中耳
ご存じの通り、私達の耳は、「外耳(がいじ)」「中耳(ちゅうじ)」「内耳(ないじ)」の大きく3つに分かれます。中耳腔(ちゅうじくう)は鼓膜の奥にはある小さな空洞(多少の空気がある)部分のことで、中耳腔と鼻の奥に存在する上咽頭(じょういんとう)は耳管(じかん)と呼ばれる管でつながっています。
耳管は空気の出入りを調節する機能をもち、鼓膜の内側と外側の気圧のバランスを保つ働きをします。
ダイバーが潜行を開始すると、鼓膜は水圧により押し込まれ、その先にある中耳腔を圧迫させます。
中耳腔はスクイーズ(圧搾)され、これが原因でダイバーは違和感や痛みを感じます。
ダイバーは耳抜きをするすることで、耳管を通して追加空気を中耳に送り込み、中耳腔の圧を調整します。
普通、耳管は閉じていいますが、耳抜きのテクニックを使用することで、空気が鼻から中耳内に入り込み、中耳腔の圧を調整します。
空気圧の調節によって、中耳内と外界の空気圧が同じになり、耳に違和感なくダイビングが楽しめるんです。
これが圧平衡/耳抜きです。
圧平衡とはダイビング中に周囲の圧力(水圧)と体の圧力を同じに保つこと
耳抜きしないで潜降できるのかな?
④耳抜きしなで潜行するとどうなるの?
DANがステップ・バイ・ステップ、分かりやすくまとめているので、簡単ご紹介します。
(※詳しくはこちら:DAN’S SMART GUIDE TO EAR EQUALIZATION)
ダイバーは耳に違和感を感じる
ダイバーは痛みを感じる
耳管がブロックされ、耳抜き(圧平衡)できなくなる。痛みも増加し、障害を引き起こす可能性もあります
中耳に液体がたまり、圧力のバランスが保たれ、鼓膜はもとの位置に戻ります。 これにより、ダイバーは痛みから違和感(耳に何か詰まった感じがする)に変わります。 一週間以上、液が抜けるまでこの状態が続きます
鼓膜が破れると、中耳に水が流れ込みます。それにより、バランス感覚を司っている三半規管が急激に冷やされ、(特に片方の鼓膜だけば破れた場合は)めまいを引き起こす場合もあります。
突然、世界があなたの周りをグルグル回っているかのよになりますが、鼓膜に流れ込んが水が体温で温められることで、この感覚はおそらくおさまります。
この時、鼻をつまんで息を吹き込み圧平衡をしようとすると、中耳と内耳の間の「正円窓」の膜が破れる可能性があります。 これを内耳圧外傷(Inner-Ear-Barotrauma)と呼び、一時的もしくは、永続的な聴覚障害が発生する可能性があります。
⑤耳抜きのタイミング
耳抜きのタイミングはこまめに早めがいいですね!
「不快感を感じる前、約60センチ~1メートルごとに耳抜きをする」
数字で言われても分かりにくいけど、『思っている以上に早いタイミングで耳抜きをするのが良いね』
みんなどんな風に耳抜きしてるの?
⑥代表的な耳抜きの方法
- バルサルバ法:最も一般的な方法。
鼻をつまみ、口を閉じて、ゆっくりと鼻へ息をおくりこむ。
急激にしたり、必要以上に強い力で行うと中耳や周辺の器官にダメージを与える恐れがあるので、ゆっくりと行うのがコツです。 - フレンシェル法:耳への負担が少ない方法ですが、コツが必要。
鼻をつまみ、舌の奥部分を持ち上げるだけ。 - 3.トインビー法:耳への負担が少ない方法。無意識にこの方法で耳抜きができている人もいます。
鼻をつまんでゆっくり唾(つば)を飲み込むだけ。
顎(あご)を動かすだけで耳抜きが出来ちゃう人もいるんですよね!
これらの方法を使い、潜降するときは①フィートファースト(足を下)で、②耳抜きが出来なかったら、少し浮上して再度トライ。③抜けにく耳を上に向けて、耳抜きをしてみてください。
「耳抜きが出来ない」って言う人の中で、身体的な問題で耳が抜けない人は全体の1%にも満たない”と聞いたことがあります。
風邪をひいていたり、寝不足だったりすると耳抜が抜きずらくなります。
基本的には、耳の構造と圧の関係を理解し、正しく行えば出来るようになります。
体調不良で耳が抜けにくい場合は、無理してダイビングをするのでなく、その日はダイビングを中止することをお勧めします。
ダイビング中の「耳抜き」で大切な点のおさらい
重要点をもう一度おさらい!
耳抜きが出来なかったら、少し浮上して耳抜きをしてみる。
抜けにく耳を上に向けて、耳抜きをすることも試してください。
早めにコマ目に耳抜きをしましょう!
ダイビングは人と競い合ったりするものではないです。
不安や苦手がある方は、自分のペースでゆっくり無理せず楽しむのが一番です!
安全にダイビングを楽しむためにも、正しく、タイミングよく、耳抜きができるようになりましょう!