ダイビングで苦手な「耳抜き」克服方法!5mまでが勝負

ダイビング中の耳抜き、大丈夫ですか?
「耳抜きがうまくできずに痛くて潜れない…」
「スムーズに潜降できずに焦ってしまう…」
そんな経験はありませんか?
耳抜きがスムーズにできないと、潜降に時間がかかり、焦りやプレッシャーを感じてしまいますよね。
最悪の場合、耳の痛みに耐えられず、ダイビングそのものが苦痛になってしまうことも…。
でも大丈夫!
正しい知識とコツを押さえれば、多くの人が耳抜きをスムーズにできるようになります。
今回は、ダイビングで最も重要な「耳抜き」について、
- 潜る前からできる準備
- 最初の5mが勝負!耳抜きのコツ
- 耳が痛くなる原因と対策
- 効率的な耳抜きのタイミングの方法
- 耳抜きをしながら潜降するコツ
を詳しく説明します!
耳抜きの不安を解消し、快適なダイビングを楽しみましょう!
耳抜きはダイビング前からはじめる
「耳抜きは潜降中にするものだ」と思われがちですが、実は耳抜きが苦手な人ほど「潜る前」から始めると効果的と言われてます。以下のポイントを実践してみましょう。
- 潜る数時間前から定期的に耳抜きをする
-
・地上で数分ごとにゆっくり耳抜きをすることで、耳管が閉ざされるのを防ぎやすくなります。
- 潜る直前にも耳抜きをする
-
- ボートの上や水面で軽く耳抜きを行い、耳管を開きやすい状態にしておくと効果的です。
- ガムを噛むのもおすすめ
-
- ガムを噛んだり、唾液を飲み込む動作も耳抜きに効果的です。耳管を開きやすくします。
参考:DANが「10 TIPS FOR EASY EQUALIZING」をまとめてます。(PADIジャパンのブログでDANの日本語訳を載せてます)
耳抜きは最初の5mが勝負
ダイビング中の耳抜きは「早めに」行うのが鉄則です。
得に潜降の最初の5mぐらいまででしっかり耳抜きできるかどうかが、その後の快適さを左右します。
DANの調査によると、耳抜きをしないと水深30㎝でも耳に違和感を感じるそうです。
それもそのはず、ダイビング中に圧力の影響を受けやすいのは、①耳と②副鼻腔(ふくびくう/サイナス)。
耳に圧がかかると痛みが発生するため、耳抜きをして耳の内部の外部の圧を同じにする必要があります。
水深が浅いほど圧力が大きい!
水中では、水深が1m増えるごとに0.1気圧ずつ圧力が上がります。
しかし、浅い水深ほど圧力の変化率が大きく、深くなるにつれて変化率は小さくなる のがポイント。
- 水面
-
1.0気圧
- 水深1m
-
1.1気圧(変化率10%)
- 水深3m
-
1.3気圧(変化率8.3%)
- 水深10m
-
2.0気圧(変化率5%)
- 水深20m
-
3.0気圧(変化率3.3%)
このように、水深5mまでは特に圧力の変化が大きいため、頻繁に耳抜きを行うことが重要です。DANの研究によると、耳の圧外傷(気圧外傷)は潜降の最初の4.2mで最もリスクが高い とされています。

上の表を見てもわかるように、横軸が水深。黄色のラインが気圧の変化率を示します。
水圧と耳の関係:なぜ潜降中に耳が痛くなるの?
なぜ、ダイバーは潜降すると耳が痛くなるの?
水圧と耳の関係を知ることで、耳抜きがより理解できますよ!
ダイビング中、私たちの 体の中で最も圧力の影響を受けやすいのが「耳」 です。
特に影響を受けるのが 中耳 という部分。
耳の仕組みを知ろう!

耳は 「外耳」「中耳」「内耳」 の3つに分かれます。
その中でも、中耳腔(ちゅうじくう)と呼ばれる部分は、鼓膜の奥にはある小さな空洞で、空気がわずかに含まれています。
この中耳腔と鼻の奥に存在する上咽頭(じょういんとう)は、耳管(じかん)と呼ばれる管でつながっています。
耳管は空気の出入りを調節する機能をもち、鼓膜の内側と外側の気圧のバランスを保つ働きをします。
潜降すると耳に何が起こる?
- 水深が深くなると、水圧が上昇 します。
- 鼓膜が 外側から水圧で押し込まれ ます。
- 中耳腔の空気が圧縮 され、鼓膜が圧迫されます。
- これが スクイーズ(圧搾) という現象で、 耳の痛みの原因 になります。
ダイバーが潜降を開始すると、水圧が上昇します。
すると、鼓膜が外側から水圧で押し込まれ、その先にある中耳腔の空気が圧縮されます。
この圧力によって鼓膜が圧迫され、ダイバーは違和感や痛みを感じるようになります。
これが、スクイーズ(圧搾)と呼ばれる減少で、耳の痛みの原因になります。
そこで、ダイバーは耳抜きを行い、耳管を通して中耳腔に追加の空気を送り込みます。耳抜きによって中耳腔の圧力が調整され、鼓膜への圧迫が解消されます。
耳抜きをすることで解決!耳抜の仕組み
- 通常、耳管は閉じている
- 耳抜きをすると耳管が開き、空気が中耳に入る
- 鼓膜の内外の圧力が均等になり、痛みが解消!
普通、耳管は閉じていいますが、耳抜きのテクニックを使うことで空気が鼻から中耳内に入り込み、圧を調整します。
こうして 中耳内と外界の圧力が同じになり、耳の違和感なく快適にダイビングを楽しめるのです。これが 圧平衡(耳抜き) です。
圧平衡とはダイビング中に周囲の圧力(水圧)と体の圧力を同じに保つこと
耳抜きしなで潜降するとどうなるの?
DANがステップごとに分かりやすく解説しているので、簡単ご紹介します。
(※詳しくはこちら:DAN’S SMART GUIDE TO EAR EQUALIZATION)
- ダイバーは耳に違和感を感じる
- ダイバーは痛みを感じる
- 耳管がブロックされ、耳抜き(圧平衡)できなくなる
- 痛みも増加し、障害を引き起こす可能性もあります
中耳圧外傷(Middle-Ear-Barotrauma)を引き起こすことも
- 中耳に液体がたまり、痛みから違和感(耳が詰まった感覚)に変わります。
- 一週間以上、この状態が続くこともある
潜降が早すぎたり、不運だと鼓膜が破けるリスクあり
- 鼓膜が破れると、中耳に水が流れ込み、バランス感覚が乱れます。
(特に片耳だけの場合はめまいを感じる場合もある) - 突然、世界があなたの周りをグルグル回っているかのよになりますが、鼓膜の中の水が体温で温められると、めまいは収まることが多い
内耳圧外傷(Inner-Ear-Barotrauma)を引き起こし、一時的または永続的な聴覚障害が発生する可能性があります。
この状態で無理に耳抜きをするおは危険!
耳抜きのタイミングと方法
耳抜きのタイミングは「こまめに・早め」が鉄則!
不快感を感じる前に、約60cm〜1mごとに耳抜きをするのが理想的。
でも、数字で言われても分かりにくいですよね?
実は「思っている以上に早めに耳抜きをする」のがコツ!
代表的な耳抜きの方法
- ①バルサルバ法(最も一般的な方法)
-
・鼻をつまみ、口を閉じて、ゆっくりと鼻へ息を送り込む。
急激にしたり、強くやりすぎると、中耳や周辺の器官にダメージを与える可能性があるので注意!
ゆっくりと行うのがコツ - ②フレンシェル法(耳に優しいが、コツが必要)
-
・鼻をつまみ、舌の奥を持ち上げるだけ。
・慣れるまで少し練習が必要ですが、耳への負担が少ない方法です - ③トインビー法(無意識にできている人も多い)
-
・鼻をつまんでゆっくり唾(つば)を飲み込むだけ。
・シンプルで耳に負担が少ない
・顎(あご)を動かすだけで耳抜きができる人もいるんですよね!
耳抜きをしながら潜降するコツ
耳抜きしながら、スムーズに潜降するためのポイント を押さえておきましょう!
- ①フィートファースト(足を下にして潜降する)
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ゆっくりと落ち着いて潜降することで、耳抜きがしやすくなります。
潜降スピードが速いと耳抜きが追いつかないことも!
スピードが速いと感じたら、足を前後に開いて水の抵抗を増やし、潜降速度をコントロールしましょう。 - ②耳抜きができなかったら、少し浮上して再トライ!
-
無理に続けず、数十センチ戻って 再度チャレンジするのが◎
このとき、絶対にインフレーターホースの給気ボタンを押してエアーを入れない!(急浮上の危険あり) - ③抜けにくい耳を上に向けて、耳抜きを試してみる
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頭の角度を変えることで耳管が開きやすくなり、耳抜きが成功しやすくなります!
ダイビング中の「耳抜き」で大切な点のおさらい
安全に楽しく潜るために、耳抜きの重要ポイント をもう一度おさらいしましょう!

・ダイビング前に水面で耳抜きをして、耳の状態をチェック!
- ゆっくり落ち着いて潜降することで、耳抜きがしやすくなります。
- 耳抜きができなかったら、少し浮上して再トライ!
- 抜けにくい耳を上に向けて耳抜きを試すのも効果的!
- 耳に最も圧がかかるのは潜降直後の5m!
- 違和感を感じる前に、こまめに早めの耳抜きを心がけましょう。
- 水圧の変化率が低くなるため、耳抜きの回数は自然に減ります。
無理せず、自分のペースで楽しもう!
- ダイビングは競争ではありません!
- 耳抜きができない人」は身体的な問題で本当に抜けないケースは1%未満と言われています。
- 風邪や寝不足のときは耳抜きがしにくくなることもあるので注意。
- 体調が万全でないときは、無理せずダイビングを中止する勇気も大切!
