サメって怖いの?|ダイバーがサメに襲われる確率は?襲撃パターンと対処法

サメって怖いの?ダイバーがサメに襲撃される確率と対処法

ノンダイバーの方や、体験ダイビングに参加される方から良く聞かれるのが「サメって怖くないですか?」「サメに襲われた事ありますか?」という質問。

有名なサメ映画、「ジョーズ」の影響かな?

動物界でサメほどハリウッドに貢献している生き物はいませんね。
何と180本以上のサメ映画があり、最も人気のあるトップ15は全て「海のモンスター」的な役割です。

「サメ=危険」「サメ=人食いザメ」という印象が強く、すっかり 「サメは海の怖い生き物」というレッテルが貼られてしまいました。

でも、実際には

サメは想像するほど恐ろしい生物ではありません。ダイビング中にサメに襲われる確率は蚊に刺されて死亡するよりはるかに低いです。

信じられませんが、年間約20人の人がシャンパンを開けた時に飛ばすコルクで無くなってます。サメにアタックされて死亡する件数はこれよりはるかに低いです。米国スタンフォード大學の調査チームは、スクーバダイバーがサメにアタックされる確率は1/1億3,600万回と発表してます。

映画の影響で、長い間サメに対する誤解が生じてますが、サメは海洋生物達の暮らしのバランスとエコ・シテムを持続させるためにとっても大切な生き物なんです。(ブログ:国際ジンベエザメの日|海の生き物に感謝

現在、500種類以上のサメが生息すると言われてます。それぞれ違った性質があり、彼らの事を知れば知るほど、大きくて雄大な生き物に興味が湧いてきます。私自信、ヌサペニダでジンベエザメに遭遇した時はメッチャ驚きと感動が体中を駆け巡りました。

サメの中でも、特に好奇心旺盛で攻撃的と言われているのは①イタチザメ/ Tiger shark   ②オオメジロザメ /bull sharkホホジロザメ/Great white sharkの3種です。

映画JAWSで有名なオオメジロザメ/ホホジロザメ?はサメ好きな外国人ダイバーの間で「死ぬまでに一度は見てみたい」 バケットリスト(bucket list)です。

ただ、我々ダイバーが通常のレジャーダイビングで彼らに遭遇する事は滅多に(殆ど)ないでしょう。

バハマで行われている「シャーク・ダイビング」では水中でイタチザメを見ることがでいます。ただ、ここで見られるイタチザメは人間が長い間餌付けしたイタチザメです。ホオジロザメを見るツアーもシャーク・ケージ(カゴ)に入って見るツアーです。

サメの事を理解しすると、「サメ=怖い」イメージも変ってくると思います。地球上にはサメよりもっと恐ろしい生き物達がいます。サメが人間に殺される数はその逆の数百万倍以上大きいです。

目次

サメによる事故と死亡件数|統計的に見ると水中は安全地帯

サメによる事故と死亡件数|統計的に見ると水中は安全地帯

ISAF(International shark attack file)によると、2011年~2020年の10年で(人為的に誘発されたのではないサメの襲撃)事故にあった件数は769件。死亡64件です。年平均にして8件以下です。

地域別でみると、トップ3で全体の約60%を占めます。
1位フロリダ:242件(内死亡ゼロ)
2位オーストラリア:で126件(死亡15件)
3位ハワイ:73件(死亡3件)

ちなみに過去10年で一番被害が多かったのは2015年の98件です。

ISAFとは:ISAFはフロリダ自然史博物館と、American Elasmobranch Societyによって管理されている全てのサメ攻撃をまとめたものです。

2020年国際サメ襲撃ファイル(ISAF)

2020年のISAF報告書を見ると、人為的に誘発されていないサメの襲撃は世界中で57件(うち、死亡10件)
直近5年間(2015年~2019年)の平均80件を大きく下回りました。
サメを誘発して襲撃されたケースは39件で死亡は3名でした。

The ISAF 2020 shark attack report

2020年地域別では

アメリア33件(死亡3件)、オーストラリア18件(6件)、フィージー1件(死亡ゼロ)

ちなみにインドネシアでのサメ被害はかなり低いです。バリ島では、2010年~2020年の10年間で5件のみ。死亡ゼロ。全てサーフィン中の事故でした。

2020年アクティビティ別

最近の傾向から大きな変化はなく、サーフィンやボードスポーツ中に起きた事故が目立ち、全体の61%をしめてます。
サメを見かけるエリアでアクティビティを行っている事と、サーフィン中の水しぶきやパドリングが意図せずにサメを引きつけている可能性があるようです。オーストラリア、マッコリ―大の研究結果によると、遊泳中やパドリング中の人間はサメからしえみるとアザラシやアシカによく似ているそうです。 スキューバダイビング中の事故は全体の4%のみ

  • サーフィン・海のボードスポーツ 61%
  • 遊泳中・水遊び 26%
  • ボディーサーフィン 5%
  • スノーケル・フリーダイビング 4%
  • スクーバダイビング4%

サメはいつ、どこで、どんな風に人間を襲撃するの?

サメはいつ、どこで、どんな風に人間を襲撃するの?

ほとんどの襲撃ケースは、海岸近くの海域や干潮時の砂州の辺りで起きます。
サーファーや遊泳中の被害が多いのも、この為でしょう。

人為的に誘発されていないサメの襲撃パターンは大きく3つ

サメが人間を襲撃する時に使う3つのパターンを見てみよう。

  1. Hit and Run:噛んで逃げる
  2. Bump and Bite:はじめはグルグル旋回し、実際に襲撃する前に繰り返しぶつかって来る
  3. Sneak:予告無しに突然襲ってくる

この中で最も一般的なのは、①「Hit and Run」です。
例としては、遊泳中やサーフィン中にサメに噛まれる事故です。
サメは人間を餌と間違え、噛みつきます。ただ、餌で無いと分かった瞬間逃げて行きます。

②「Bump and bite」や③「seak」は一般的ではないですが、深刻な怪我や死に至らす場合もあります。
この二つのタイプは深い海域で発生するケースが多く、①「Hit and Run」タイプとはちがい、サメは餌と間違えて襲って来るのではありません。完全に捕食モードに入ったサメが敵対的に繰り返し襲ってきます。
飛行機の墜落事故や船の事故で海に放り出されてしまった時に起こるサメによる襲撃は、主にこの2つタイプです。

ダイビング中、サメに遭遇したらどうすれば良いのか?

ダイビング中、サメに遭遇したらどうすれば良いのか?

ダイバーがサメに攻撃される確率はかなり低い事が分かったと思いますが、それでもゼロではありません。

もし、ダイビング中にサメを目撃したら落ち着いて、できるだけ静かにしてましょう。
ほとんどのサメは好奇心が旺盛なだけで、勝手に去って行きます。

捕食モード入ったサメは、背中を弓なりに反らし、胸鰭を下げ、急速にジグザグに泳いだり、急速に上下に泳ぐと言われてます。

レジャーダイビング中に捕獲モードに入ったサメに遭遇する確率はかなり低いですが、もし、その様な局面に遭遇してしまったら、①焦らず、岩などを背にして静かにしていましょう。そして、②タイミングを見てバディと背中合わせに周りを見ながら、徐々に水面に上がりボートに戻りましょう。(参考:Advice to divers)

サメより怖い生き物

サメより怖い生き物

地球上の動物で人間にとって危険で、死亡例が多いのは何かご存じですか? 
映画の世界だけで判断すると、私達の最大の脅威は「人食いザメ」の様に見えますが、最も致命的な敵はもっと別の場所にいるんです。

BBC science focus によると、地球上で一番危険な動物は「蚊」で毎年(主にマラリア)725,000人が死亡しています。
「犬」が4番目に危険な動物で、毎年59,000人が狂犬病の犬に噛まれて死亡しています。

  1. 蚊(マラリア)
  2. 人間(自殺)
  3. ヘビ
  4. 犬(狂犬病)
  5. サシガメ(シャーガス病)
  6. サソリ
  7. ワニ
  8. ゾウ
  9. カバ
  10. ライオン

インドネシアのケースを見ると、2020年1月~4月の4か月間でデング熱により死亡した人の数は254人です。狂犬病の犬に噛まれて死亡した人は過去5年間で105人です。

まとめ|世界のサメの日

世界サメの日,shark awareness day

今回のブログを書くにあたり、「海底47M」を見ました。
映画の中の世界と分かってはいても、やっぱりサメは迫力ありますね。

ただ、もうお分かりの通り、我々ダイバーが映画で見る様な捕獲シーンに遭遇する事はほぼ無いに等しいでしょう。

特に、バリ島でのダイビングに関しては、ネムリブカ(ホワイトチップシャーク)は見かけますが、「3代危険ザメ」と言われている①イタチザメ ②オオメジロザメ  ③ホオジロザメには未だかつて出会った事すらありません。

「サメ=恐ろしい魚」って思っていた人は、少しは誤解が溶けたのではないでしょうか?

毎年、サメの襲撃(しゅうげき)による死者者は約10人。人間によって殺されるサメの数はほぼ1憶。平均すると、毎秒2〜3匹のサメが殺されてることになります。

サメはダイバーに大きな感動を与えてくれるだけでなく、海洋生態系に欠かせない重要な存在でもあります。恐れるのでなく、もっとサメについて知り、敬意を持って接する事でイメージも大きく変わっていくと思います。

世界サメの日

  • Shark Awareness Day (サメ啓発の日):毎年7月14日
  •  International Whale Shark Day (国際ジンベエザメの日):毎年8月30日

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