「ミミックオクトパス」すごすぎる進化と常識を超えた擬態の謎

バリ島ダイビング、ミミックオクトパス

「擬態の達人」として知られている「ミミックオクトパス/ Thaumoctopus mimicus 」

ミミックオクトパスはマダコの一種で、1988年にインドネシアのスラベシ島沖で発見されました。

現在、確認されているだけでも15種類以上の生物(主に毒性の高い)に擬態することができます。

この驚くべき能力! 

なぜ、そしてどのようにしてミミックオクトパスはこの驚異的な能力を進化させたのでしょうか?
その 謎に迫ります!

ミミックオクトパス
目次

ミミックオクトパスの進化を探ると、そのすごさが分かる!

ミミックオクトパスは、なぜこれほどまでに巧妙な擬態能力を獲得したのか?
進化の背景を探ります!

驚異の防衛策!「目立つことで身を守る」

一般的なカモフラージュとは異なり、ミミックオクトパスは あえて目立つ ことで身を守る戦略を持っています。
その秘密とは?

擬態の達人!ミミックオクトパスの変身技

毒を持つ危険な生物に変身! 確認されているだけでも 15種類以上 に擬態。その驚きの技術を紹介!

ミミックオクトパスの仲間たち

ミミックオクトパスに似たタコや、擬態を得意とする生物たち。彼らとの共通点とは?

ミミックオクトパスとワンダーパスの見分け方

そっくりな2種類のタコ、ミミックオクトパスとワンダーパス。その違いを見極めるポイントを解説!

    ミミックオクトパス

    ミミックオクトパスの防衛策「自分を目立たせて身を守る」

    通常、タコは周囲の環境に合わせて体の色を変化させ、目立たずに捕食から身を守ります
    カモフラージュと呼ばれるこの戦略は、多くの海洋生物が採用しえいる一般的な防衛方法です。

    しかし、ミミックオクトパス」はその常識を覆します!

    なんと、より目立つように体の色を変化させ、大胆な配色でコントラストの強い色パターンを作り出します。
    そして、ヒラメ、ミノカサゴ、ウミヘビなどの毒を持つ生物に擬態するのです。

    一見、リスクの高い行動に思えますが、この戦力こそ生存の鍵。
    敵を混乱させたり、脅かすことで、捕食者から身を守ることができるのです。

    このようなリスクを伴った防衛戦略を取る動物は、実は非常に珍しいです。ミミックオクトパスはそのユニークな戦略で、自然界の中で際立った存在となっています。

    ミミックオクトパスはなぜハイリスクな防衛戦略をとるのか?

    カリフォルニア化学アカデミーとコンサベーション・インターナショナル・インドネシアはミミックオクトパスとその親類に関するDNA遺伝子研究を実施し、なぜミミックオクトパスがこのようなハイリスクな行動をとるように進化したのかを説明しました。

    その結果、『ミミックオクトパスは3つの重要な特性を進化させた』ことが分かりました

    STEP
    大胆な柄を進化させた

    まず、ミミックオクトパスは従来の擬態の殻を破り、二次防衛策とし、捕食者を驚かせるような「茶色と白の大胆な柄」を進化させました。

    STEP
    手足を進化させた

    次に、ミミックオクトパスはヒラメのように泳ぐための技術と、長い手足を進化させました。
    これにより、さらなる擬態の幅を広げ、攻撃的な捕食者から逃れやすくなりました。

    STEP
    ゼブラ模様のガラを進化させた

    最後に、ミミックオクトパスは大胆なゼブラ模様のような柄を表現し始めました。
    このパターンは、捕食者に対して強力な威嚇(いかく)効果を持ち、また混乱させる要素となります。

    「ミミックオクトパス」は先祖から伝わる擬態能力を打ち破り、その先の先まで進化させていったんですね。
    単なるカモフラージュにとどまらず、積極的に敵を欺く戦略へと進化

    ミミックオクトパスの変身技

    ミミックオクトパスの変身技の一部を見てみよう!
    クイズ番組で使用された弊社のミミックオクトパスの動画。
    ヒラメやカサゴに変身する姿がよくわかります。

    ミミックオクトパス、ウミヘビに変身,バリ島シークレットベイ

    ミミックオクトパスが砂地から顔を出し、ウミヘビに擬態してます。
    個人的には、ミミックオクトパスがウミヘビに擬態している時に発見するパターンも多いです。

    この時、慌てて近づいたりすると、直ぐに引っ込んでしまうので、根気がいります。

    ミミックオクトパス,変身前、茶色、バリ島シークレットベイ

    ミミックオクトパスが、砂地から体を出してきた。

    この時の体の色は茶色の単色

    ヒラメに変身!
    体の色が「茶色と白」のゼブラに変わりました!

    ミミックオクトパス,ミノカサゴに変身,バリ島シークレットベイ

    カサゴに変身中

    ミミックオクトパス,イカに擬態,バリ島シークレットベイ

    イカに変身

    バリ島トランベン,小さな ミミックオクトパス

    まだ小さなミミックオクトパス
    一生懸命に変身

    ミミックオクトパスの仲間達

    ミミックオクトパスに似た種

    • ワンダーパス/Wunderpus photogenicus
    • ホワイトVオクトパス/ Abdopus sp

    ワンダーパスは1980年代に発見され、2006年に科学者により正式な学名が付けられました。

    バリ島ワンダーパス・オクトパス  wunderpus octopus

    ワンダーパスオクトパス
    Wunderpus Octopus

    ホワイトVオクトパスがヒラメに変身、トランベンバリ島

    ホワイトVオクトパス
    White V Octopus

    ミミックオクトパスとワンダーパスの見分け方

    ミミックオクトパスとワンダーパスの見分け方は難しくありません。

    目の上の触覚: 目の上の触角が細く長く伸びているのがミミックオクトパス。三角錐のような形になっているがワンダーパスです。

    目の大きさ: ミミックの方が丸くて大きな目です

    体の大きさ:ミミックははワンダーパスに比べて大きく、筋肉質になる傾向があります

    模様: ミミックはゼブラのような縞(シマ)模様を消して、茶色またはまだらになる変えることがあります。ワンダーパスは色の濃さを変化させますが、常にはっきりとした縞(シマ)模様が見えます。

    バリ島では主にシークレットベイアメッドトランベン周辺プリ・ジャディで見かけることがあります。

    MAX DIVEのYoutubeチャンネルに「ミミックオクトパス」と「ホワイトVオクトパス」の動画をアップしてます!
    どちらも迫力満点です

    バリ島シークレットベイで見たミミックオクトパス
    ミミックオクトパス
    バリ島アメッドで見たホワイトVオクトパス
    ワンダーパス

    最後に~ミミックオクトパスとの思いで=

    私が初めてミミックオクトパスに遭遇したのは、今から20年以上前のこと。
    場所はインドネシア・スラベシ島のレンベでした。

    当時のレンベは、今とは違って本当に何もない場所。
    ダイビングリゾートも、「クンクンガン・ベイ・リゾート」一軒だけでした。

    初日、3本目のダイビングを終えてボートに上がる直前、ガイドが突然叫びました。

    「ミミックオクトパスだ!」

    そこには見たことのない奇妙なタコが。
    なんと、目の前で姿を変え、ヒラメのように砂地を滑るように泳いでいるのです。

    えっ!タコが変身するなんて!

    驚きと興奮で胸が高鳴りました。
    実際に目の前でその擬態を見た時の衝撃は、今でも忘れません。

    それから何度もバリの海でミミックオクトパスに出会っていますが、見つけるたびに心が躍ります。
    毎回、新たな驚きを与えてくれる生き物です。

    ミミックオクトパスは、どのダイブでも必ず見られるわけではありません。もし水中で遭遇したら、驚かせないように慎重に観察してみてください。きっと、あなたもこの神秘的なタコの魅力に引き込まれるはずです!

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