ダイビング中に遭遇する有毒魚達「カサゴの仲間」

バリ島ヒメオニオコゼ、歩く魚, Inimicus didactylus
目次

毒を持つ脊椎動物の50%以上が「魚類」だって知ってましたか?

地球の70%が水に覆われ、そこには32000種の魚が生息してます。
海水魚の約1200種に毒があり、有毒脊椎動物(せきついどうぶつ)の3分の2を占めているんです。
 
ダイビング中に見られるエイ、オニヒトデ、ガンガゼ、貝類、ウミヘビ類など、水中には危険な毒を持った生物達がいます。
ここでは、海水魚の中でもダイバーになじみの深い、カサゴの仲間達見てみましょう!

ダイビングで見るカサゴには「毒」があるの?

カサゴには毒があります。背びれ、腹びれ、尾びれの棘(トゲ)に毒を持つ魚なんです

※生物分類的階級:生物の分類(目、科、属、種)について

図鑑をみると、目、科、属、種、など、生物を分類し階級付けしていますよね。

これは、「生物分類学的階級」言い、1600年代に形づくられ,18世紀にスウェーデンの博物学者リンネ(Carolus Linnaeus)によって作られました。

ちなみに、我々人間は

「界:Kingdom
動物界

「門:Phylum」
脊索動物門(Chordata)

「鋼:Class」
哺乳綱(Mammalia)

「目:Order」
サル目

亜目:Sub-Order」
直鼻猿亜目(Haplorhini) ちょくびあもく

「科:Family」
ヒト科

亜科:Sub-Family
ヒト亜科 (Homininae)

「属:Genus」
ヒト属 (Genus Homo) 

「種: Species」
ヒト(Homo sapience)


魚類の分類:カサゴ目フサカサゴ科
  • 「開:Kingdom」
    動物界
  • 「門:Phylum」
    脊索動物門(Chordata) Vertebrate    
  • 「亜門:Sub-Phylum」
    脊椎動物亜門(せきつい動物)
  • 「鋼:Class」
    哺乳綱(Mammalia)、
    鳥綱(Aves)、
    両生綱(爬虫類を含む)(Amphibia)、
    魚綱(Pisces)
    昆虫綱(Insecta)
    蠕虫綱(Vermes)
  • 「区:Division」
    軟骨魚綱 
    条鰭魚類 (Actinopterygii)
  • 「目:Order」
    スズキ目Perciformes/カサゴ目 Scorpaeniformes
  • 「亜目:Sub-Order」
    カサゴ亜目 (Scorpaenoidei/Scorpaeniformes)
    セミホウボウ亜目
    コチ亜目
    ギンダラ亜目
    アイナメ亜目
    ノルマニクテュス亜目
    カジカ亜目
  • 「科:Family」
    フサカサゴ科 Scorpaenidae
    イボオコゼ科
    メバル科
    オニオコゼ科 (オニオコゼ亜科)
    ハオコゼ科
  • 「亜科:Sub-Family」
    (カサゴ科の亜科)シロカサゴ亜科
    ヒレナガカサゴ亜科
    メバル亜科
    ハチ亜科
    ハオコゼ亜科
    オニオコゼ亜科
    ヒメキチジ亜科
    フサカサゴ亜科
  • 「属: Genus」
    (フカカサゴ亜科下の属)
    ノコギリカサゴ属
    ヒメヤマノカミ属
    エボシカサゴ属
    ハナカサゴ属
    カクレカサゴ属
    ハタタテカサゴ属
    マツバラカサゴ属
    セトミノカサゴ属
    ネッタイフサカサゴ属
    ヒオドシ属
    ツノカサゴ属
    ミノカサゴ属
    ボロカサゴ属
    フサカサゴ属
    イソカサゴ属
    オニカサゴ属
    マダラフサカサゴ属
    ハダカハオコゼ属
    フンドウカサゴ属
    クマカサゴ属

【オニオコゼ】
目:
スズキ目(Perciformes)/カサゴ 目(Scorpaeniformes)
亜目:
カサゴ亜目 (scorpaenoidei/Scorpaeniformes)
科:
フサカサゴ科(scorpaenidae)
亜科:
オニオコゼ亜科(synanceiidae)
属:
ヒメオコゼ属 (minous)
オニオコゼ属:(Inimicus)種:(オニオコゼ、ヒメオニオコゼ、Inimicus filamentosus)
オニダルマオコゼ属 (Synanceia)種: (ツノダルマオコゼ、オニダルマオコゼ)

ダルマオコゼ属:Erosa

ミノカサゴと仲間達:優雅なヒレに毒

カサゴと言ったら、「ミノカサゴ」とその仲間達を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?
胸ビレを大きく開き、フワフワ泳ぐ姿はとっても優雅ですよね。
英語ではライオンフィッシュ(Lion fish)といわれ、欧米人ダイバーの間でとっても人気があります。

ハナミノカサゴ

フカカサゴ科ミノカサゴ属


「目」スズキ目/カサゴ
「亜目」カサゴ
科」フサカサゴ
「亜科」フカカサゴ
「属」ミノカサゴ
「種」ミノカサゴ、ハナミノカサゴ、ネッタイミノカサゴ、キリン

実は、彼らを優雅に見せる「背ビレ」「腹ビレ」「尾ビレ」こそが危険なんです。
背ビレ、胸ビレ、尾ビレ部分に毒針(毒棘)があります。

ミノカサゴと仲間達は、バリ島のほとんどのダイビングスポットにいます。
中でも最も頻繁に見られるのは、ミノカサゴハナミノカサゴネッタイミノカサゴなどです。
上記、写真は「ハナミノカサゴ」です。
ミノカサゴとそっくりですが、ハナミノカサゴは尾びれこまかい斑紋があります

オニカサゴと仲間達

オニカサゴ,バリ島

フサカサゴ科オニカサゴ属


「目」スズキ目/カサゴ
「亜目」カサゴ
科」フサカサゴ
「亜科」フカカサゴ
「属」オニカサゴ
「種」サツマカサゴ,ニライカサゴ,オニカサゴ等

「食べると美味しい」食卓の高級魚たちも背ビレに毒棘をもつ険なヤツです。

ツノカサゴ:モジャモジャで奇妙

ツノカサゴ,ambon scorpionfish

フサカサゴ科ツノカサゴ属

「目」スズキ目/カサゴ
「亜目」カサゴ
科」フサカサゴ
「亜科」フサカサゴ
「属」ツノカサゴ
「種」ツノカサゴ(Ambon Scorpionfish)

モジャモジャでちょっと奇妙。カモフラージュが上手く、赤、茶、黄色、と色のバリュエーションも豊富。
背ビレに沿って毒針があります。

ちょっと分かりずらいですが、小さな目の上にある突起が特徴です。

オニカサゴと仲間達

バリ島シークレットベイ,ニライカサゴ

フサカサゴ科オニカサゴ属

「目」スズキ目/カサゴ
「亜目」カサゴ
科」フサカサゴ
「亜科」フカカサゴ
「属」オニカサゴ
「種」サツマカサゴ,ニライカサゴ,オニカサゴ等。

バリでよく見かけるのが「ニライカサゴ」オニダルマオコゼ属のツノダルマオコゼにそっくりです。
前者は英名でFalse stone fish, 後者はTrue stone fishと呼ばれています。偽オニダルマと本当のオニダルマって事でしょうか?

ハダカハオコゼ:カモフラージュに毒針(毒棘/どくきょく)

バリ島ハダカハオコゼ

ハダカハオコゼ科ハダカハオコゼ属

「目」スズキ目/カサゴ
「亜目」カサゴ
科」フサカサゴ
「亜科」フサカサゴ
「属」ハダカハオコゼ
「種」ハダカハオコゼ( Leaf scorpionfish)

大きな背ビレが特徴。ここに毒棘が潜んでいるんです。
バリ島では珍しくなく、いろいろなダイビングスポットで見られます。

ハダカハオコゼ黒


周囲の環境に合わせカモフラージュするので、白、ピンク、黒などの色がいます。
脱皮する魚としても知られていて、体の表皮が1枚ずつ剥がれるように落ちるんです。ボロカサゴもそうですね。

ツマジロオコゼ:背ビレに毒針(毒棘)

バリ島シークレットべイ ツマジロオコゼ

ハオコゼ科ツマジロオコゼ属

目」スズキ目/カサゴ
「亜目」カサゴ
科」ハオコゼ
「亜科」ハオコゼ
「属」ツマジロオコゼ
「種」ツマジロオコゼ(Cockatoo waspfish)

バリ島のマクロポイント(マックダイビング)で見かけます。
砂地を枯葉が揺れるように、ユラユラしてます。遠くから見ると、「葉っぱ」と間違えてしまうこともしばしばありあす。
おとなしそうに見えるけど、背ビレの棘に毒があるんです。

アゴヒゲオコゼ:ピョコタンにも毒針(毒棘)が・・・

バリ島 アゴヒゲオコゼ

ハオコゼ科アゴヒゲオコゼ属

「目」スズキ目/カサゴ
「亜目」カサゴ
科」ハオコゼ
「亜科」ハオコゼ
「属」アゴヒゲオコゼ
種」アゴヒゲオコゼ(Bearded roguefish)

ピョンピョン飛ぶので、ダイバーの間では「ピョコタン」とも言われえます。
バリでは結構レア。とっても愛くるしい顔ですが、この子の背ビレに毒棘があります。

ホウセキカサゴ・ボロカサゴ・Rhinopias aphanes


英語ではRhinopias (リノピアス)と言います。彼らもまた、背ビレに毒針(毒棘)が持つんです。

Rhinopias aphanes

フサカサゴ科ボロカサゴ属

「目」スズキ目/カサゴ
「亜目」カサゴ
科」フサカサゴ
「亜科」フカカサゴ
「属」ボロカサゴ
「種」ボロカサゴ(Weedy scorpionfish/Rhinopias frondosa),ホウセキカサゴ(Paddle-flap scorpionfish/Rhinopias eschmeyeri),レーシースコーピオンフィッシュ(Rhinopias aphanes/Lacey scorpionfish) 等

ボロカサゴ(Weedy scorpionfish/Rhinopias frondosa)

ボロカサゴ(Weedy scorpionfish/Rhinopias frondosa)

ホウセキカサゴがあくびしているところ

ホウセキカサゴ(Paddle-flap scorpionfish/Rhinopias eschmeyeri)

オニオコゼの仲間達:かなりグロテスク

バリ島アメッド,melasti、ヒメオニオコゼ

オニオコゼの仲間達:かなりグロテスク

「目」スズキ目/カサゴ
「亜目」カサゴ亜目
科」フサカサゴ(オニオコゼ)
「亜科」オニオコゼ
属」オニオコゼ、ヒメオコゼ、オニダルマオコゼ、ダルマオコゼ
「種」各種がいる

背ビレの棘条に毒腺があり、強力な神経毒が分泌される。ほとんどの場合、砂地に体を埋もれさせたり、岩に擬態したりしている。

オニオコゼ属(Inimicus

  • オニオコゼ Inimicus japonicus (Devil stinger)
  • ヒメオニオコゼInimicus didactylus (Demon Stinger)

ヒメオコゼ属(minous)

オニダルマオコゼ属(synanceia) : Stone fish

  • オニダルマオコゼ synanceia verrucosa (reef stonefish)
  • ツノダルマオコゼ  synanceia horrida (true stonefish)
  • synanceia nana

オニダルマオコゼ属は、ツノダルマオコゼ、オニダルマオコゼなどがいます。

オコゼ達って水底を這って歩くの?

オニオコゼ属(オニオコゼ、ヒメオニオコゼなど)は↓こんな風に胸ビレの「遊離軟条」を使って水底を歩くんです。背ビレに強力な毒棘があります。

ヒメオコゼの歩く姿

オニダルマオコゼ:最強の猛毒魚

バリ島トランベン,オニダルマオコゼ

フサカサゴ科(オニダルマ)オニダルマオコゼ属

「目」スズキ目/カサゴ
「亜目」カサゴ
科」フサカサゴ(オニオコゼ)
「亜科」オニオコゼ
「属」オニダルマオコゼ
「種」オニダルマオコゼ(Reef stonefish)

背ビレの棘(トゲ)にとっても強い毒を持ちます。
通常、砂に埋もれているか、岩に擬態してじっとしています。
あまり動いている姿を見かけない魚です。

※先月(2022年8月)初めてアメッドで水底を動き、泳ぐ「オニダルマオコゼ」を見ました

Youtubeに動画をアップしました!

【オニダルマオコゼが泳いでいた!】最強の猛毒を持つ怖いやつ

綺麗な魚達にも毒はある

バリでのダイビングでよく見かける「フサカサゴ科」で「毒棘」をもってる魚達をまとめました。
優雅に泳ぐ「ミノカサゴ」にも、可愛らしい「ツマジロオコゼ」や「ハダカハオコゼ」にも「毒棘」があります。
水中にはまだまだ気を付けなければいけない魚達が生息してます。
中性浮力を確保し、安全にダイビングを楽しみましょ!

参考:

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