水中でプラごみ見たくない!バリ島の「海洋ごみ問題」改めて考えてみた
ダイビング中、水中にプカプカ浮いているプラスチックごみを見たことのあるダイバーは多いのではないでしょうか?また、そのプラスチックごみが引き起こす問題について考えた事があるダイバーも多いと思います。
最近かなりショッキングな動画をYouTubeで見ました。
「プラスチックのコップを住処として身を隠しているメジロダコの動画」と、「プラスチックのストローが鼻に刺さったウミガメを救助する動画」です。
随分前の動画なので、ご覧になった方も多いと思います。
もしプラスチックゴミが海へ流れ込まなければ、こんな悲惨が事は起きなかったでしょう。
このような映像を見ると自然と「何とかしたい!」って気持ちになり、身近で起きているプラスチックごみの問題について改めて考えさせられました。
バリ島の海と海洋プラスチックごみ問題
2018年にイギリス人ダイバーによりペニダ島周辺に浮かぶ大量のゴミの動画がアップあれました。見た方も多いのではないでしょうか?この動画を見た時はなんとも言えない気持ちになりました。
ご存じの通り、インドネシアは先進国が出した行き場のない大量のごみの受け皿になってます。同時に急速な経済成長と比例し、自国で大量のごみを日々排出しています。プラスチックは我々の生活のさまざまな部分で使用され、便利な暮らしを提供してくれています。ただ、上手く向き合わなければ「海洋ごみ問題」を引き起こしてしまうんです。
「大量の漂流ごみ」はどこから来るのか?
1つには、インドネシアの他の島(ジャワ島やスマトラ島)から潮の流れや風の力によって漂流してくる「ごみ」です。
特に雨季は多くのごみが流れてきます。
もう一つは、バリ島から出るゴミ。廃棄物の管理が行き届いていない結果と、人々のポイ捨てによる「ごみ」です。
バリ島北東部に位置するアメッドを例にすると、大雨の翌日は山から「大量のプラスチックごみ」がビーチに流れてきます。何もしなければ、そのまま海へ流れいってしまいますね。
残念な事に、バリ島では未だにバナナの皮をポイ捨てする感覚でペットボトルやスナック菓子の袋をポイ捨てしている人がいるんです。
ごみの行方と処分方法
バリ島の家庭ごみの処理方法
私が住むサヌール地区の場合、殆どの家庭が有料(月払い)でごみの回収に来てもらっています。
- ①有料でごみの回収をしてもらう
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(地域によって異なりますが)毎日もしくは、週に数回ごみ収集車がきます。一般家庭のごみを見る限り、ごみを分別してだしている家庭は少ないですね。ごみ収集車は回収したごみをまるごとトラックに積み、トラックの上でプラスチック類等を分別するそうです。そして、最終処分所に運びます。
- ②ゴミ拾い(ごみ集め)Garbage Pickers
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ペットボトルを含むプラスチック製品や段ボールなど「売れるもの」を集めているのがGarbage Pickers (ゴミ拾い)です。彼らは集めたプラスチック類や段ボール類を地域のバンジャール(コミュニティー)が運営する「Garbagae Bank/ Waste Bank/ごみ銀行」に持ち込みお金にします。ごみ銀行は買い取った「ペットボトル、プラスチック製品や段ボール類」をジャワ島にあるごみ処理所へ送るそうです。
予断ですが、私の家ではペットボトルやプラスチック製品は綺麗に洗い、ある程度たまったら「これらを集めている人」にあげます。家の前に置いておくだけで、いつの間にか誰かが持って行ってくれる場合もあります。
- ③庭の木や葉っぱなどは自宅の庭で燃やす
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たまに近所の庭から煙がモクモクしてます。
「有料で回収されたごみ」と「ごみ銀行」、現実には・・・
有料で回収されたゴミの行方は・・・
インドネシアの廃棄物管理に関する 2008 年法律によると、「オープンダンピング(分別せずに集めたごみをただ投棄するだけ)を行っている最終処分所は5年以内に閉鎖しなければならない」とされてます。13年たった今、どれだけ閉鎖されたか疑問です。バリ島に限っていうと「バリ島政府によりごみの分別令」は出たものの、まったく進んでいるようには見えないし、少なからず未だにオープンダンピングは行われいます。
「ごみ銀行」ってとっても良いシステムだと思います
ただ現実的には、当然これだけではカバーしきれないプラスチックごみが溢れています。かなり汚れたペットボトルやボロボロになったスナック菓子の袋、壊れた食品トレーなどは、ごみ拾いの人達もお金にならないので拾いません。結果、それらは他の廃棄物と一緒に最終処分所にダンピングされるんです。
バリ島で最大の最終処分所は海の近くにあり、そこに積まれたごみ(プラスチック製品類を含む廃棄物)が、が海に流出して行く場合もあるそうです。
このやり方では毎日大量にでるごみを処理しきれない。人々の意識、廃棄物処理能力とその管理システムがまったくもって追いついていないのが現実でしょう。
「ポイ捨てされたごみ」の中でお金になる物はゴミ拾いの人達が拾っていきます。ただ、ポイ捨てられたごみを掃除する人達がいない限り、お金にならないごみたちはそのまま放置されます。
ビーチクリーンアップ活動:若者たち中心に意識の変化
SNSで「バリ島のごみ問題」が世界に発信された事が少なからず「ごみ問題」解決に拍車をかけたのか?
インドネシア最大の観光地であるバリ島にとって「ビーチに錯乱するごみ」は死活問題です。
バリ島はインドネシアの中でも早い段階でビニール袋の使用を廃止。また、意識高い系のレストランやカフェはプラスチックストローの使用も廃止しました。
コロナ禍の今、各地のビーチでは「ビーチクリーンナップ活動」が積極的に行われています。
今年の2月にはOne Island One Voiceにより、バリ島最大のビーチクリーンナップ活動が各地のビーチで行われました。
集められたごみはEcoBaliにより分別され、リサイクル等、適切に処分されました。
集められたごみの内訳は以下の取りです:
- プラスチックの食品トレー(容器): 全体の20%
- たばこの吸い殻::全体の17%
- ペットボトルとプラスチックのコップ: 全体の16%
- ストロー:全体の11%
- ビニール袋:全体の9%
全体の15%占めていたビニール袋が今年は昨年比40%減少しました。これは嬉し結果ですね!
この活動に参加したサヌールにあるCTC(Coral Triangle Center)によると、この活動で集めらた「ごみ」はECO Baliによって分別され、リサイクル(マテリアルリサイクル/再生利用)を含め適切に処分されたそうです。
CTCの人いわく、バリ島に関しては「リサイクル施設の構築とキャパシティーの増強も大切だけど、もっと大切なのは人々の意識を変えていくこと」だと言ってました。
最近は学校単位でゴミ銀行という活動をはじめていて、文房具なんかと交換している所もあるようです。
この様な活動を通し、少しづつでも意識が変わっていってもらいたいですね。
補足:Coral Triangle Centerとは、地元のコミュニテイー、民間、政府等と連携してコーラル・トライアングル(パプアニューギニア、インドネシア、マレーシア、フィリピン、ソロモン諸島、東ティモールを結んだ三角形の海域)の海洋資源管理やサンゴ礁の生態系保護に注力している財団で
我々ダイバーに出来ること:1ダイブ1クリーンアップ・プロジェクト
「1 Dive 1 Cleanup プロジェクト」は、“ダイビング中にごみを見かけたら、ひとつでもいいから拾うことを当たり前(マナー)にしよう!”という啓蒙活動
マリンダイビング
MAX DIVEもバリ島から参加してます!
ダイバーとして、一個人として、「海洋ゴミ問題」に取り組む方法た沢山あります。
ダイビングに中にゴミを見つけたら拾う。
単純な事ですが、ダイバー一人一人が行ったら大きな結果を生み出す事ができると信じてます。
少しでも多くのダイバーが「海洋ゴミ問題」について関心をもし、「環境にやさしいダイバー」に目覚めてくれたら嬉しいです。
※参考資料: