「オスが出産」タツノオトシゴの面白い生態と直面している危機
動物界でオスが妊娠して子孫を産むのは「タツノオトシゴ」とその仲間達だけ
タツノオトシゴは、見た目も生態もユニークな魚。
彼らは、泳ぎが苦手で、体の色を変えて周囲に溶け込むカモフラージュの達人!
砂地をフワフワ揺れながら移動する種類や、ピグミーシーホースの様にイソバナに尻尾を巻き付ける種もいます。
バリ島では、一番大きく成長すると言われている「オオウミウマ」から、世界で一番小さい「ピグミーシーホース」まで、様々な色や大きさのタツノオトシゴに出会えます。
世界中に47種類以上のタツノオトシゴが生息しますが、研究者は25人程です。
ここでは、彼らのとってもユニークな繁殖行動と保護について見てみよう!
オスが出産する!タツノオトシゴのオスはどのように卵を受精させ育てるのか
タツノオトシゴのオスはどのように卵を受精させて育てるのか?
オスとメスのタツノオトシゴが求愛した後、メスはオスのポーチ(育児嚢/いくじのう)の中に卵を起きます。
そして、オスはポーチ(袋)の中で卵を受精させます。
オスは育児嚢の中で卵に酸素と栄養素を供給し、発育中の卵の温度、血流、塩分を調節しながらタマゴを育てます。
種によっても違うようですが、オスのタツノオトシゴは通常2〜4週間卵を運び、一度に100〜1,000匹の赤ちゃんを産みます。
タツノオトシゴの求愛の姿をリアルで見たことはありませんが、『オスとメスが向き合いダンスをしているように見える」とも言われてますね。多くの種は一夫一婦制。
いつか私もダンスしている姿を見てみたいです。
タツノオトシゴの仲間「ヨウジウオ」や「シードラゴン」はどうなんだろう?
おなじヨウジウオ科に属するヨウジウオやシードラゴンはどうでしょう?
彼らは、タツノオトシゴのようにオスが育児嚢の中で卵を受精させて育てることはしません。
オスのヨウジウオとオスのシードラゴンは、体の下側に発育中の卵を運び、胎盤のようなコネクションを通じて栄養素と酸素を供給するようです。
本当に不思議な生き物なんですね。
タツノオトシゴの危機と保護活動
IUCN(国際自然保護連合)レッドリストに掲載されている46種のタツノオトシゴのうち、14種は「脆弱」以下に分類されています。
タツノオトシゴ研究の第一人者として知られているDr Amanda Vincent (アマンダ・ヴィンセント)によると、 タツノオトシゴ達の並外れた繁殖生体は生物学的、生態学的、および経済的な理由から保護されなければならないと保護活動に力を注いてます。
Dr. Vincentいわく、タツノオトシゴを始め多種多様な海洋生物が生息、成長、繁殖する海岸線にそった約10メートルの深さは、我々人間が最も圧力をかけている場所でもあるとのこと。
我々人間が行っている破壊的な漁業、不動産開発、汚染、気候変動により、ここ数十年でマングローブ林の35%以上、サンゴ礁の30%、海草床の30%が劣化または破壊されているとのことです。
また、毎年7000万のタツノオトシゴは管理されていない漁業で捕獲され。乾燥したタツノオトシゴの貿易の95%は違法若しくは、管理されていない未報告の貿易とのも言われてます。
ダイビング中に見かける「タツノオトシゴ」はとっても不思議で貴重な生き物なんです。
タツノオトシゴは世界中に47種類以上いると言われていますが、研究者の数は25人程だそうです。
我々個人もプロジェクトに参加できる
シーホース・プロジェクトのiSeahorseアプリにダイビング中に遭遇したタツノオトシゴの写真をアップすることで、我々ダイバーも彼らの研究をサポートできます。ご興味のある方はアプリを見て下さい!