ダイビングで遭遇!タコの驚きの生態と巧妙な捕食戦略

タコの生態と捕食方法

ダイビング中、タコに出会うとテンション上がりませんか?
あのクネクネとした不思議な動き。つい目で追ってしまいます。

でも、タコの魅力は「不思議な動き」だけではありません。

狭い隙間をすり抜けるやわらかい体、スカートのような膜を広げて岩を包み込む姿…。
さらに、まるで別の魚のように擬態して周囲をだますこともあります。

そんなタコは、知能レベルが高く、「驚くほど戦略的な獲物の捕らえ方」があるのをご存じですか?

今回は、水中で実際に目撃したタコのユニークな捕食戦略①ウェブオーバーと②ハンティングパックを取り上げながら、その背景にあるタコの基本的な生態もご紹介します。

タコがどうやって知恵を働かせ、獲物を追い詰めていくのか?
その驚きのテクニックを一緒にのぞいてみましょう!

目次

知っているようで知らなかった!タコの基本的な生態

タコといえば、8本の腕をクネクネと動かす生き物、という印象を持っている方も多いかもしれません。
ですが、実はタコにはもっと面白い生態がたくさんあります。

まず、タコには3つの心臓と青い血液が流れています。
そして、8本の腕にはそれぞれ280個もの吸盤があり、最大でその数は2240個にもなります。

驚くべきことに、タコの体の90%は筋肉でできていて、骨が全くありません。
そのため、タコは自由に動いたり、体の1/10ほどの小さな穴をすり抜けることができるんです。

タコの特徴内容
腕の数8本
心臓の数3つ(それぞれ役割がちがう)
血液の色青色(銅を含むヘモシアニンのおかげ)
脳の数9個(腕にも脳がある)
吸盤の数最大2240個(1本の腕に約280個)
体の構造90%が筋肉、骨はなし
通り抜け能力自分の体の1/10の穴でも通り抜けることができる
寿命短い種類が多く、1~2年ほど
繁殖産卵後、親はどもを守り、役目が終わると死んでしまう
カモフラージュ皮膚の色・質感を瞬時に変え擬態
インクを吐く敵から逃げるため、黒いインクを噴射する
知能学習能力が高く、本題解決や他の生物の協力もできる
捕食方法ウェブオーバーやハンティングパックなど、多彩な戦略を使う
食べ方鋭いくちばし(口の中にある硬い歯)でカニや貝の殻を砕き、
中身を吸い取る。毒を使って獲物を麻痺させることもある。

では、そんな驚くべきタコがどのように餌を捕るのか。
その捕食方法も実にユニークで、他の生物にはないような戦術を使ってます。
タコの捕食戦略は身体能力と知能のハイブリッド!

タコのユニーク捕食戦略「ウェブオーバー」と「ハンティングパック」

タコは単に「腕を使って獲物を捕まえる」だけの生き物ではありません。
その捕食方法は、知恵と戦略に満ちた驚きのテクニックが詰まっています。

みなさんは、「ウェブオーバー」や「ハンティングパック」というタコの餌の捕り方を聞いたことがありますか?
どちらも少しユニークな方法ですが、実はダイビング中に目撃することもあるんです。

タコの捕食戦略 ①「ウェブオーバー/web-over」

タコの捕食戦略ウェブオーバー webover

タコのユニークな餌の捕り方として有名なのが、「ウェブオーバー」です。

ウェブオーバー(web-over)とは、8本の腕の間にある膜(傘膜)を大きく広げて、獲物にふわっと覆いかぶさり、逃げ道をふさぐ捕食技です。

英語のwebは「膜」、overは「覆う」という意味。
つまり、「膜で包み込む」というわけですね。

タコの好物は、岩の隙間やサンゴの間に隠れているエビ、カニや小魚など。
8本の腕をグィっと広げて一気に覆いかぶさると、驚いた獲物たちは逃げ場を失い
、結果的に吸盤でしっかり捕えられてしまうのです。

タコの捕食戦略の一つウェブオーバーwebover

このウェブオーバーは、岩場なでの複雑な地形でもとても効果的。
タコの知恵と優れた生態的な能力が際立つ瞬間です。

タコの捕食戦略 ②「ハンティングパック/hunting pack」

もう一つの戦略がハンティングパック」です。
タコは孤独な生き物で、基本単独で行動します。
ところが、餌を捕る時は他の生物とチームを組むことがあるんです。

ハンティングパック (hunting pack) とは、タコがエサを捕るときに、他の魚たちとチームを組んで協力しながら獲物を狙う行動のこと。

英語のhuntingは「獲物を探して捉える行動」、Packは「群れ、集団」

タコが協力関係を築く魚としては、ヒゲで獲物を探すヒメジ、待ち伏せ型の捕食者であるハタ、そして探知能力に優れるベラなどが知られています。

これらの魚は、タコの周囲を泳ぎ回りながらタコの獲物の存在を知らせます。
タコはその情報をもとに、岩の隙間などから獲物を追い出してキャチ!

驚くべきことに、タコはただ仲良く行動しているだけではありません。
協力しない魚に対しては、パンチで追い払うこともあるようです。

つまり、タコは自分にとって役に立つ魚とだけ協力し、役に立たない魚は排除するという、
非常に合理的で賢い判断をしているんですね。

魚たちもまた、タコと一緒に行動することで、安全に効率よくエサを得ることができるという、
双方にメリットがある関係なのです。

タコの捕食戦略から見える「賢さ」と自然のしくみ

タコの捕食戦略を知るだけでも、タコが軟体動物の中で最も賢いと言われている理由が、少しわかってきた気がします。

また、タコの生態と行動を知る事で、自然界に存在する生き物同士の不思議なつながりや、見えないバランスにも気づかされます。

次回のダイビングでは、ぜひタコの行動に注目してみてください。
バリ島のダイビングではマダコやワモンダコホワイトVオクトパスなど、さまざまなタコに出会えます。
さらに、ちょっと変わったミミックオクトパスやワンダーパス、毒性の強いオオマルモンダコやヒョウモンダコ、
可愛らしココナッツオクトパスなども観察できるかもしれません。

思いもよらない、驚きの瞬間に出会えるかもしれませんよ!

※参考:

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